賃貸仲介の現場目線で考える「本当に資産価値が落ちない物件の条件」とは?
賃貸仲介の現場目線で考える「本当に資産価値が落ちない物件の条件」とは?
画像=Pixabay
仕事柄、賃貸仲介の現場でお手伝いをする機会が多い。反響の増やし方から、営業メンバーの指導など細かい現場のアドバイスから、店舗運営、店長育成などのマネジメント領域まで、それなりに多岐に渡る。ありがたいことに、定期的に不動産会社様からこういったお手伝いのオーダーを頂いていることは、本当に嬉しい限りだ。こうした支援は微力ながらも続けていきたいと思っている。
また、こうした通常のご依頼とは別に、よく不動産オーナー、もしくはこれから不動産投資を始めたいと考えているオーナーからも連絡を頂く。問い合わせの内容は、「自分が所有している物件の空室をなんとか解消したい」、「これから購入する予定の不動産は、本当にしっかりと満室稼働できるのか」というような問い合わせだ。
物件販売、物件紹介をしている不動産会社様のオーナー提案自体に問題があるわけではない。こうした問い合わせは、「念の為確認したい」、というオーナーの根源的な不安感が起因となっているケースが多いような気がする。また現在空室の物件が、本当に苦戦しているものなのか(管理会社は、しっかりリーシング活動をしているのか、そして、その活動をしたとしても、それでもやはり空室なのか)を確認したい、という欲求もあるようだ。
不動産投資においては、物件の利回りや、融資条件だけで良し悪しを判断できない要素が、かなりある。実際、世間的に良いと言われている物件でも、仲介現場を経験している人間が検証すると、イマイチな物件だったりすることは、よく散見される。ちなみに、「イマイチと感じる」というのは、「リーシングとしての落とし穴」が見えてしまうということだ。また、当然、その逆もあり得る。なかなか投資価値がないように見える物件でも、仲介目線で見ると、やり方次第によっては、それなりの収益が出せる物件だったりする。不動産特投資は素人には難易度が高い、と言われている所以は、こうした理由によるところだろう。
では、仲介目線で見た場合、どのような物件だと「ハズレがないのだろうか」。今回は、この代表的な項目をいくつか紹介したい。
・広さだけでなく、「間取り」をしっかり見る
平米数だけで物件を判断すると、思わぬ落とし穴に落ちることがある。たとえば、ワンルームでも使いやすい間取りと、使いにくい間取りがある。たとえば、梁が突き出ていたり、リビングにデッドスペースが多い居室はリーシングに苦労する。勿論、リノベーションなどで間取りを変更することもできるが、当然のことながら初期投資のコストが発生してしまう。
ただ部屋タイプや平米数を数字上で見るだけではなく、間取りを細かく確認する必要があるのだ。
いっぽうで、面積が狭くても、「広く感じる」物件もある。こうした物件はリーシングに苦労することはない。
・駅からの距離と同じぐらい周辺環境も重要
駅近の物件は、原理原則として、資産価値が高く、稼働率が高いケースが多い。しかし、多少駅から遠くても周辺環境が良い物件は、「決まりが良い」。たとえば、駅からの道のりが明るく、開放感がある物件。また幹線道路に面していなく、騒音などの心配がない物件のリーシングは非常に楽だ。
こうした立地の細かいところを確認しておくことを忘れてはいけない。
・同エリア、同条件の物件の空室状況を把握し、需給バランスを見る
物件購入においては、必須である「競合物件の調査」だが、これも仲介目線でのコツがある。ただ、なんとなく物件をピックアップするのではない。
まず、同じエリア、同じ年代の築年数、同じぐらいの広さで現在募集中の物件の空室数を調べる。当然、同条件で空室が多い場合は、需要よりも供給の方が高い。
ちなみに、ここで重要なのは、かなり細かく検索条件を設定し、調査をすることだ。たとえば、物件の設備(水回り)や、共有部のセキュリティ、築年数など、細かい検索をしていくことで、本当の相場や、需給バランスを理解することができる。
また、こうした細かい検索をして、唯一残った物件が、購入検討の物件の場合は、「当たり」の物件である。
・管理会社、運営会社の選定が大きな差を生み出す
物件購入後、自分自身で物件を管理することは、あまりお勧めはできない。細かいリーシング対策や、日常管理などは、管理会社に任せた方が良いだろう。そして、この管理会社の選定が物件運用の大きな鍵を握る。単純に管理手数料が安いだけで選んではいけない。
・管理会社としてのリーシング対策
・日常管理のフロー
・オーナーへの報告体制
・原状回復のフロー
・担当者のコミニュケーションレベル
などを細かく調べて、複数社で検討していく必要がある。
よく業界内で言われることだが、日常的な管理のクオリティが高い物件は、築年数が経過しても、見栄えが悪くならない。いっぽうで、管理体制が悪ければ、かなり早く老朽化が進んでしまう。
とにかく、「物件」というモノを買うだけではなく、「管理」という仕組みを買うぐらいの意識の方が良いだろう。
以上のような項目をクリアすると、資産価値が落ちるリスクは相当軽減できる。勿論、融資の問題をクリアしなければいけないし、なかなか該当する物件は見つからないかもしれない。しかしながら、細かく情報を収集していけば、掘り出し物の物件を見つける可能性は大いにある。
不動産投資をする際は、上記のようなことを是非検証してみてほしい。