はじめまして。明海大学不動産学部4年の福嶋将崇です。
今回は、不動産学部の最終学年、4年次の秋から冬にかけて私が受講した不動産学卒業演習の「レポート作成授業(5回の講義でレポートを作成します)」を紹介したいと思います。
様々な選択肢が用意されている
みなさんは、「レポート作成授業」と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか?
おそらく「何についてレポートするのか?」ではないかと思います。
工学、法学、経済学、経営学といった分野にまたがるテーマからひとつ選んだうえで、書く内容を絞り込みます。私は、世界経済に関わるテーマに選びました。
日本の立ち位置
世界には、高い経済成長を目指す新興国と、低成長の先進国があります。日本は経済大国であるはずですが、あと十年もすれば、インドに抜かれるとも聞きます。
そこで私は、具体的なテーマを「世界経済の中の日本」として、日本の立ち位置について考察を深めることにしました。
経済成長率から読み取る「日本経済のこれまで」
まず、日本の経済成長率の推移をグラフでみてみます。
日本の経済成長率が最も落ちたのは1989~92年、そして2007〜10年の時期です。1992年はバブル崩壊後、地価のピークも過ぎたころです。その2年前、1990年3月には、大蔵省銀行局長(土田正顕氏)から「土地関連融資の抑制について」通達がありました。この同時期には日本銀行による急激な金融引き締めも行われ、日本経済況は急激な信用収縮と信用崩壊に見舞われました。それでも続いた金融引き締めを通じて、日本経済の状況は極度に悪化したとも後に評価されています。
次の時期、2007〜10年にかけては世界金融危機があった影響で、日本経済は落ち込みました。この金融危機は、米サブプライム住宅ローン問題に端を発しています。
米住宅バブル崩壊が2007年です。
2008年には連鎖的に、米リーマン・ブラザーズ証券が破綻し(リーマン・ショック)、世界の国々が金融危機に見舞われました。そして同時期、日本も余波を受けて、大きく低迷することになってしまったのです。
経済不況の世界的連鎖、そして不動産市場
このような経済不況の世界的連鎖は、「世界経済危機」、「世界金融崩壊」、「世界金融不況」、「世界同時不況」、「第二次世界恐慌」などとも呼ばれています。世界経済史に残り、世界の経済、そして私が卒業後に携わる人材派遣関係、雇用関係の情勢にもなお影響し続けているといいます。
同時期は、経済の激動期に位置付けられ、不動産市場へも大きな影響があったとして広く知られてもいます。経済の大きな動きと不動産市場の関係が密接であることを意識しながらグラフを読み取ることは、私にとって、「調べること」からくる楽しみにもなりました。
驚きの184位
ただ、驚いたことがあります。IMFのデータにアクセスすると、2016年時点で観測可能な世界226カ国のうち、日本の経済成長率の順位は184位だったのです。
これは日本の経済規模が、やがては他の新興諸国に抜かれてしまうことにつながると教わりました。
経済成長率を上げることは、非常に大事なことだという実感が湧きました。
レポートを書くことの大切さ
このような調査をするなかで、不動産学部の最終学年の秋、私は、レポートを作成することの楽しさ、そして大切さを肌で感じました。宅建試験やその他授業の単位をほぼ修得し終えたタイミングでのレポートで、自由な研究ができたことも楽しい勉強につながりました。
そして卒業演習の一環として私が受講した「レポート作成授業」では、社会において求められる「フォーマット」についても指導を受けました。タイトルの文字のフォントや大きさ、章番号の付け方などを指導書に従い調整して、最終的な仕上げとします。
内容も、社会に出たとき「上司に報告する」ことを念頭に置くよう指導されます。私はここが最も難しいと感じた点ですが、それだけやりがいもある点でした。自らが面白いと思ったこと、なるほどと思ったことや、驚いたことを軸に調査を深め、考察を紙に起こしていくという作業の大切さを学びました。