明海大学不動産学部4年の大賀です。私は平成26年からスタートした生涯学習型社会人特別入学試験を経て明海大学不動産学部に入学しました。現在35歳で不動産関連事業を経営しながら本学に通っています。大学の授業内容や社会人という立場で私が大学生活で感じたことなどを紹介しようと思います。
学部内一大イベント「宅建」
学生の宅地建物取引士の資格取得は不動産学部の最も重要な取り組みではないでしょうか。これから宅建を目指す学生とすでに合格している学生との情報交換の場が用意されるなど、勉強へのモチベーションを上げる取り組みが随所に見られます。
不動産の実務経験が無い学生にとって宅建合格は容易なことではありません。その不利な部分を補う為に基礎的な学習はもちろんのこと、効率的な勉強方法やメンタル面もフォローする学習環境が整えられており、それらを運営する講師陣の熱心な指導の甲斐あり、1年時に宅建士に合格できました。
デザインコースとゼミ
2年生になるとビジネスコース、ファイナンスコース、デザインコースの3つのコースを選択できるようになります。私は建築に興味があったのでデザインコースを選択しました。このコースでは所定の単位を取得すれば卒業後すぐに2級建築士の受験資格を得ることができますので、不動産に興味があり、また建築士を目指す学生にとっては最良の選択肢ではないでしょうか。
3年生になるとゼミが始まります。各専門の教授の元で興味のある分野を学生が自主的に研究,発表,討論する場となります。私は、建築への興味の延長で、都市空間設計が専門の齋藤千尋教授のゼミで都市計画や地方活性化について研究をさせていただきました。茨城県桜川市の真壁町に泊りがけで訪問し、伝統的な街並みの保存の取り組み、街の活性化の取り組みなどを学びました。宅建の勉強のように直接実社会で活かすことのできる分野では無かったですが、魅力的な文化財があっても公共交通機関がないと町の経済が停滞してしまうことや、活性化のためにはイベントなどまちおこしの仕掛けが重要であることなどを実地で知ることができたのは私の中では貴重な経験でした。
海外研修で学んだこと
年に2回、不動産学部では海外研修がおこなわれます。私はイギリスのケンブリッジ大学研修と、韓国建国大学の研修に参加しました。
それぞれの国の文化を体験しながら、それぞれの国の不動産事情、不動産学を学んでいきます。
私が特に印象に残っているのがイギリスと日本の不動産というものに対する考え方の違いです。
不動産の信用力
日本にいると当たり前のことが、外国から日本を客観的に見ると違った角度から日本を感じられる。海外旅行などに行くとこのような経験された方も多いと思います。私はイギリス研修に参加し、不動産の信用力についてこれまで日本では感じていなかったことを感じるようになりました。
不動産学部では日本の宅地建物の取引の歴史や変革、現在のルールなどを学びます。当然それらの制度は都度議論が行われ、より良い方向へと変わっていっているはずです。私も日本で仕事をする中でそれは当たり前に正しいことだと認識していました。
イギリス研修に参加しイギリスの不動産取引のスタンスや方法を知る中で、日本の不動産取引を客観的にみることができました。そこで日本の不動産業にはフェアネス(公正さ)の観点から疑問が持たれる事柄がいくつかあると感じました。
例えば、イギリスの不動産取引では売主、買主にはそれぞれ別のエージェント(代理人)がいます。双方のエージェントはそれぞれの顧客(売主、買主)に対して、公正な取引になるよう専門家として責任をもちます。日本の不動産取引では同一の仲介業者が売主と買主の双方から手数料を受け取る両手取引が一般的です。また賃貸契約では、貸主の権利が強く守られていることなど、不動産取引に対しての考え方やスタンスの違いは信用度に繋がり、それが不動産価格形成に大きく関わっていくことも学びました。
国が変われば法律や文化も変わります。どちらが良い悪いではなく、広い視野で多面的に物事を観察してくことは、今後の時代、変化に対して柔軟に対応する為に必要なスキルだと思います。この研修で学び感じたことは今自分が行なっている事業でも十分役に立つことでした。
不動産学部に入学して
私の年齢ではまず経験ができないことをすることができ、人生の中で素晴らしい一コマを頂いた気持ちです。
この経験は今後の私の人生をより豊かなものにしてくれるでしょう。
もし子供が不動産事業の後を継ぐのであれば、進学先としてまず明海大学不動産学部を候補にしたいと思っております。