はじめまして。明海大学不動産学部3年のTです。仮名で失礼します。
私は浜島裕美教授のゼミで、マンション法について勉強しています。
今回は、浜島ゼミの取り組みをご紹介します。
区分所有法について
マンション法は、正式には「建物の区分所有等に関する法律」といって、「区分所有法」と略されています。マンション法という言い方は、区分所有法の他、民法や借地借家法やマンション建替え管理円滑化法など、一棟の建物に多くの人々が住む時に発生する様々な問題も扱う言い方だそうです。
ペット飼育のルール
今、浜島ゼミではマンションでペットを飼う時のルールについて研究しています。私自身が住んでいるのは一戸建ての住宅で、猫を飼っています。一戸建てなので、気兼ねはありません。でも、マンションだと、そう言うわけにはいかないんだろうな、と想像できます。最近ではペット可マンションも増えていて、ペットを飼いたい人は、最初からそういうマンションに住めばいいと思っていました。
しかし、マンション内でのペット飼育に関する判例をいくつか読んでみたところ、どうもそんな簡単ではないことが分かりました。マンションを買った時にはペットに関するルールがなかったのに、後から規約が改正されて、ペット飼育が禁止された事例がいくつもありました。
最初からペット禁止の規約があっても、詳しい条件等が定められていなかったので、後から細則で「犬、猫」が禁止されて、裁判になった事例も見られました。
また、規約改正の手続きに不備があって、ペット飼育を禁止する規約の改正が認められなかった例もありました。
さらに、ペット飼育禁止を認めた裁判でも、訴訟を起こすのにかかった弁護士費用の賠償を認めたものと認めなかったものとがありました。
マンションの管理規約
区分所有法30条には、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」とされています。マンションでペットを飼っていいかどうかは区分所有法には何の規定もありません。そしてペット飼育はマンションの管理・使用に当たると考えられるので、その内容は規約で定めることになります。規約を定める規定は31条にあり、「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」としています。
ペット飼育禁止の規約改正は「特別の影響」か?
ペットを飼っている区分所有者がいるマンションで、ペット飼育を禁止する規約が設定された場合には、飼主の権利(ペットの所有権)に特別の影響を及ぼすと考えられるので、その承諾が必要だと思いました。
しかし、例えば東京高判平成6年8月4日(判時1509号71頁、判タ855号301頁)は、「飼主の身体的傷害を補充する意味を持つ盲導犬」の場合には、飼主である区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすといえるけれども、本件の犬の飼育はあくまでペットとしてのものだから、特別の影響を及ぼすとは言えないとして、その承諾は必要でないとしました。
宅建の問題文に、よく「◯○法及び判例によれば・・・」というのが出てきます。法律に書いてあっても、実際の事例にそれをどう当てはめるか、というのは、とても難しいことだと思いました。また、判決文も、裁判官によって違う言い方や論理構成があるのだと気付きました。今後もこのテーマで勉強を続けて、ゼミ論を完成させる予定です。
お読みいただき、ありがとうございました。