はじめまして。不動産学部教授の藤原徹と申します。
これまでのコラムでさまざまな授業についてご紹介してきました。今回は、不動産学部の授業体系(カリキュラム)についてお話したいと思います。
なぜ不動産学部へ?
本題に入る前に、私が不動産学部になぜ赴任してきたか(十数年前の話ですが・・・)を書くように、と運営の先生に指示されましたので、自己紹介を兼ねつつお話させていただきます。
私は経済学を専門にしていまして、大学院生時代は経済学研究科で学びました。同級生や先輩の多くが様々な大学の経済学部の教員になっていくなか、私は不動産学部のある先生から、「うちの教員募集に応募してみないか」とお誘いを頂きました。経済学の教員で法学や工学の先生と同僚になれるチャンスはなかなか得られませんし、経済学と不動産学両方を研究教育したいとも思い、喜んで応募させていただき、運よく採用され、現在に至ります。
カリキュラムを創る
不動産学部では、経済、経営、法律、工学といった幅広い内容の授業を提供しています。「学生に学んでもらいたいこと」を授業として立ち上げて提供すると、膨大な数になってしまいます。したがって、その中からどのように取捨選択して学修してもらうか、というのは不動産学部創設以来の重要なテーマとなっています。日本には他に不動産学部はありませんから、学部教員が知恵を絞ってカリキュラムを創っていかなくてはなりません。
2016年度入学生からカリキュラムが改訂され、私はそのとりまとめをおおせつかりました。不動産学部が現在どのような授業体系を提供しているか、簡単にご紹介させていただきたいと思います。詳細についてはこちらをご覧いただければ幸いです。
不動産学部のカリキュラム
浦安キャンパス共通科目
不動産学部の学生は、明海大学浦安キャンパスの学生でもありますので、キャンパス共通科目を学修してもらいます。初年次の「基礎教育」をはじめ、語学や世界の文化、社会のしくみ等の学修を通じた「人間力形成教育」、卒業後も見通した「キャリア形成教育」などが柱となっています。
宅建士合格に特化した科目
不動産学部に限ったことではありませんが、入学試験が多様化していて、必ずしも学力試験を経て入学してくる学生ばかりではありません。「リメディアル教育」といって、高校までの教育内容の補習などをする大学もあります。
不動産学部では、不動産学の学修の「スタートライン」として、宅建士の取得を目指し、試験対策に特化した科目を1、2年次に設けています(必修です)。資格取得のための勉強を通じて、学習習慣をつけることも意図しています。たまに宅建士の取得がゴールだと思ってしまいがちな学生がいますが、あくまでもスタートラインです。
2年生からのコース選択
1年次は、浦安キャンパスの基礎教育、宅建士の受験と並行して、不動産学の基礎、経済学、法学、都市計画、建築の基礎等を必修科目として学修します(忙しいのです!)。
これらを踏まえて、自らの興味関心にしたがって、2年次から「コース」を選択します。不動産ビジネスに必要となる、経営・法律の関連科目を中心に学ぶ「ビジネスコース」、ファイナンス・鑑定評価・金融関連の法・不動産経営・会計関係の科目を中心に学ぶ「ファイナンスコース」、建築・都市・不動産管理関連の科目を中心に学ぶ「デザインコース」の3つが用意されています。
少人数教育
多くの大学で重視しているように、明海大学も少人数教育を重視しています。不動産学部の場合は、4年間のゼミによる教育だけでなく、各講義も可能な限り100名を超えないクラス規模で運営しています。
世界に目を向けて
国際化が叫ばれて久しいですが、不動産の分野においても例外ではありません。日本で外国人に物件を貸したり、日本法人が海外の物件を取得したりといったビジネスがますます盛んになっていくことでしょう。世界に目を向けて活躍できる人材を育てたい、といった思いから、不動産学をある程度学修した3年次に、不動産ビジネス英語の講義をこれも必修で開講しています。
建築士試験受験資格取得に係る指定科目
宅建士の資格取得は、不動産学部ではスタートラインだ、と先ほど申し上げました。不動産学を学修していく中で、建築士や不動産鑑定士といった次の資格を目指したい、という学生も少なからずいます。不動産学部では、建築士試験の受験資格が得られる科目群も用意しています。詳細については、前島講師のコラムをご覧いただければと思います。
不動産鑑定士についても、民法系科目、会計学、ミクロ経済学、マクロ経済学、不動産鑑定評価論といった授業を用意していますので、大学の授業をしっかり受けることが試験対策の一助となっています。
むすびにかえて
不動産学部の授業の全体像について、簡単にお話させていただきました。不動産学の幅広さを反映して、学生にはなかなかハードな4年間ですが、大変実になる4年間であると信じています。
最近うれしいことがありました。1年次に宅建士試験に合格し、また、インターンシップにも参加するなど、資格取得やキャリアデザインを積極的に行っているある学生が、「いま一番がんばっていることは何ですか?」と聞かれて、「日々の授業の勉強をがんばっている」と答えている場面に遭遇しました。
資格取得や就職が重要なのは言うまでもありませんが、このように思ってくれている学生がいる、というのは教員冥利に尽きます。一人でも多くの学生にこう思ってもらえるようにこれからも精進していきたいと思っています。