本年もよろしくお願い致します!
こんにちは!
明海大学不動産学部です!
そして遅くなりましたが、本年もよろしくお願い致します!
昨年12月から始まった明海大学のコラム、ここでは私たち明海大学不動産学部の取り組みを紹介していきたいと思います。
執筆者は教員であったり学生であったり、毎回変わります。
日本で唯一の不動産学部について、様々な視点から紹介していければと思います。
どうぞよろしくお願い致します!
さて、第2回の執筆担当は、前回に引き続き、わたくし新任教員の小杉です!
(執筆者は毎回変わる、と言ったばかりで恐縮ですが・・・)
今回は、「不動産学部にはどんな授業があるの?」ということで、私が担当している「不動産管理演習」という授業を紹介したいと思います。
「不動産管理演習」の授業紹介
この演習のタイトルである「不動産管理」は、その対象となる物件の種類も管理方法も様々ですが、今回の演習では「(分譲)マンション管理」を取り上げています。
どんな建物でも、建物の劣化を予防するための維持管理は必要です。より不動産経営的な観点からみれば、単に劣化を防げば良いというものではなく、資産価値が下がらないよう、建物の魅力を向上させるための取り組みも必要になってきます。これらも「管理」のひとつといえます。
個人や法人(企業)が所有しているひとつの住宅や建物を管理するということでさえ、結構大変なのことなのですが、たくさんの人々が区分所有しているマンションの建物の管理となると、それらの人々でどうやって協力して管理するか、という要素が加わることでさらに複雑になり、より高度な知識と技術が要求されます。これらの知識と技術を有する専門家を証明する「マンション管理士」という国家資格があるくらいです。
そんなマンション管理のうち、「長期修繕計画の作成」と「資産価値向上の提案」について、実際に千葉市にある団地型マンション「N団地」をモデルとして学生に作業してもらっています。
演習1「長期修繕計画の作成」
「長期修繕計画」は、大規模修繕を適切かつ計画的に進めていくために、ほとんどのマンションで作成されるものです。そして、マンションの維持管理の中でも非常に重要な位置を占める一方で、その内容やしくみが専門家以外には分かりづらく、管理組合内部の議論でも揉めることが多い部分でもあります。そこで、この分野の実務で大活躍している藤木亮介先生を非常勤講師にお招きし、昨年(2016年)の9月から11月にかけて、藤木先生が作成した資料を頼りに学生は自力で計画を作成していくことになりました。
N団地が今後25年間でどのような補修または改修工事をどのタイミングでどのくらいすべきなのか、それにはどのくらいの費用がかかるのか、その結果、修繕積立金は月額いくら徴収すれば良いのか。こういった計画を立案するために、今回は一つ一つ電卓の計算で工事が必要な部分の数量を広い、修繕積立金を割り出していく作業を行いました。学生にとっては相当な根気と集中力が必要となりましたが、その分、長期修繕計画については講義を聴くだけよりも具体的に理解することができたと思います。
学生による長期修繕計画の作成例
演習2「資産価値向上の提案」
「資産価値向上」については、これを何らかの形で実践しているマンションは現在のところまだ少数です。しかし、日本では分譲マンションの供給が昭和30年代に始まり、40年代に普及したことを考えると、今後は陳腐化・劣化が進行する高経年マンションが増加し、それに伴いと資産価値が低下する、すなわち転売や賃貸が難しくなるマンションが増加すると考えられます。学生が社会に出て活躍する時代の高経年マンションでは、管理の一貫として「資産価値向上」に取り組むことは必要不可欠になっていくと思われます。
大学ですので、こういったことも先取りして、半ば実験的に「資産価値向上」について、昨年(2016年)の11月から学生に検討をしてもらっています。資産価値向上のためには、共用部分(集会所やエントランスホール、屋外空間など)や専有部分(居住空間)を改修してマンションの魅力を向上させることが効果的です。ただ、これを具体的に誰のお金でどのように進めるのか、ということの検討が難しいのです。
ここでは、共用部分の魅力向上に詳しい先ほどの藤木先生に加え、専有部分のリノベーション(間取りや内装の魅力向上)の実務で大活躍している大山啓先生を非常勤講師としてお招きし(大山先生は不動産賃貸を扱う某マンガにも実際に登場しています)、N団地の現状分析、市場分析、リノベーションの内容やそれに伴う費用、さらには費用負担の検討、予想される効果など、具体的な提案内容を、学生ひとり一人がそれぞれオリジナルな内容で構想していきます。
実在する団地管理組合に提案する
N団地の現状分析にあたっては、N団地管理組合の皆様にもご協力いただきました。この演習に参加している学生全員でN団地を実際に訪問し、管理組合の役員さん、自治会の役員さん、団地でのコミュニティ活動を担っている住民の方などに、直接お話をうかがうことができました。