マンションを売却する前に、少しでも高く売却するためには、是非とも管理規約の見直しを行って欲しいということを前回述べた。
分譲マンションに住んでる方にとって、管理規約はマンションに住むための法律みたいなものである。
事実、この規約に違反した場合、区分所有法という法律に基づいて強制的に立ち退かされる可能性がある。
また、規約はマンションという共同生活空間における良好な住環境を構築するために必要な指標となる。
例えば、あなたが住んでいるマンションではシェアハウスや民泊は禁止されているだろうか?
大田区では全国に先駆け民泊条例が施行されたことは記憶に新しいが、東京オリンピックに伴う外国人観光客の増加を見込んでこれから民泊を行う人が増えてくるに伴い、当然トラブルも飛躍的に増加するだろう。
では、どのようなトラブルが想定されるか?
第一に騒音問題である。
旅行とは気分も高揚し、ついつい騒いでしまう。それが外国人であれば、時差の関係で到着が深夜に及んだ場合、大きなキャリーケースをガラガラと引きずる音を出したり、大きな声で話をされたりするのは非常に迷惑である。
また、マナーの問題も生じる。
通常、民泊の客は契約時内容は遵守するが、マンションの規約には関知しない。知らされていないから当たり前である。
従って、例えば、いくらマンションの規約で共用部では禁煙であると言っても、契約時に言われていなければ守ろうとはしない。
次には、治安の問題である。
居住用のマンションは通常、会社の事務所を置くことを認めていない。これは不特定多数の人間が出入りすること禁止し、知らない人がいないという状態を作り上げることにより治安の向上を目的としているわけであるが、この方策が全く通じなくなる。
更に、日本人は外国人を苦手としている人が多い。知らない外国人が多く出入りすることに不安を感じる人が出ても不思議ではない。
このように民泊をファミリー向け居住用マンションのような集合住宅で行うには様々な問題があり、民泊を行うには不都合と考える。
しかし一旦、管理規約が制定される前に民泊を開始されてしまうと、これをやめさせるのはかなり難しい。なぜなら、管理規約の変更が区分所有者の権利に影響がある内容であるときは、その承諾を得る必要があるからである。すでに民泊を営業している者にとって、ある日突然、「このマンションは民泊を禁止します」と言われても、到底承服できないことは当然のことと思われる。
そのため、民泊を開始される前に早急に民泊を禁止する管理規約の制定が必要となる。
その他の規約変更についてはまた次回。