最近、新設住宅戸数が増えている

日本の人口はすでに減り始めていますが、世帯数はまだ増えていることを前回お伝えしました。実は世帯数とともに新しく建てられる住宅も増えています。新設住宅戸数の推移と大都市の占める割合をまとめてみました。

最初の図表は、国土交通省「建築着工統計調査報告年計平成28年分」から、過去65年間の全国新設住宅戸数の推移を表したものです。折れ線は4都府県(東京都・神奈川県・愛知県・大阪府)それぞれのシェアを表したものです。

資料:国土交通省「建築着工統計調査報告年計平成28年分」

※沖縄県は1973年(昭和48年)計から集計を開始

戦後の1951年(昭和26年)以降で、最も新設住宅戸数が多かった年は1973年(昭和48年)の1,905,112戸で、次がその前年の1,807,581戸です。日本が高度成長していた時代で、不動産バブル期よりも新設住宅戸数は多いです。その後、減ったり増えたりしながら150万戸程度を維持していましたが、1996年(平成8年)を最後に減少傾向が強まり、2009年(平成21年)には788,410戸まで減ってしまいました。ピーク時の4割の水準です。人口が増えず、景気も低迷している状況では当然のことなのか、今までが建てすぎたのかはわかりませんが、住宅業界にとっては厳しい時代となっています。しかし、直近の2年間だけでみると新設住宅戸数は約8%増加しています。

都道府県別でみてみると、東京都のシェア(割合)の推移に特徴があります。2016年(平成28年)の新設住宅戸数では、東京都が占める割合は15.3%となっています。10.0%だった1996年と比べると、東京都のシェアは1.5倍以上になっています。過去に遡ると、戦後焼け野原からの復興で都内に多くの住宅が新設されたことがわかります。ピークの1959年(昭和34年)には全国の4分の1近い住宅が都内で新設されています。大阪府も戦後に多くの住宅が新設されています。大都市の4都府県(東京都・神奈川県・愛知県・大阪府)で、全国の新設住宅戸数のおおよそ3分の1となっています。

東京都の新設住宅はコンパクトな住宅が多い!

もう一つ、新設住宅戸数と同様に新設住宅床面積でも図表を作成してみました。新設住宅床面積の図表は1959年(昭和34年)から2016年(平成28年)まで58年間の推移です。

資料:国土交通省「建築着工統計調査報告年計平成28年分」

※沖縄県は1973年(昭和48年)計から集計を開始

新設住宅を床面積でみると、過去最高は高度成長期でも不動産バブル期でもなく、1996年(平成8年)の157,898,956平方メートルとなっています。この年の新設住宅戸数で割ってみると一戸あたり96平方メートルになります。2016年は一戸あたり81平方メートルであり、1996年は東京都の新設住宅戸数のシェアが10.0%で低いことから、この年は地方で何らかの要因があって広くなったと考えられます。

都道府県別でみると東京都の床面積割合が1993年から増加傾向にあります。しかし直近の2016年では、新設住宅戸数の割合が15.3%なのに対し、床面積の割合は11.7%しかありません。都内で新設される住宅は比較的コンパクトであると推測できます。

新設住宅の推移を不動産投資の視点でみた場合、人口が減少している状況では新設住宅の戸数も床面積も少ないほうがのぞましいです。新規の住宅供給が多くて需要が少なければ、家賃が下がったり入居者が決まらなかったりするリスクが高まるからです。不動産投資をこれから始める人も既にしている人も、新設住宅戸数の推移をみながら将来の投資を考えてみては如何でしょうか。

 
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