8月28日、厚労省は「シックハウス症候群」など体調不良を引き起こす恐れのある3つの化学物質新たに室内濃度の指針値を定める方針を固めた。よくメディアで耳にする「シックハウス症候群」だが、その症状や恐ろしさとは具体的にどういったものなのだろうか。過去にシックハウスに関する相談を受けた経験もあるFP正田きよ子氏に、具体的な事例を交えて紹介してもらった。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=写真AC)

賃貸住宅にお住いのAさんは、2年ごとにある賃貸契約の更新を憂鬱に感じていました。
なぜなら、過去の引っ越しで大変な思いをしたから。

綺麗にリフォームされた新居に引っ越したにもかかわらず、家事も仕事もできないほどの体調不良になってしまったのです。
賃貸住宅は、入居者が入れ替わる際に痛んだり汚れたりした、壁紙の張り替えや、補修などのリフォームを行います。
Aさんは、リフォームで使われる接着剤、建材、塗料に含まれる化学物質に過敏なアレルギー反応が出てしまい、体調不良になってしまったのでした。

Aさんの症状は、いわゆる「シックハウス症候群」です。
以前の引っ越しの際は、かなり重いシックハウス症候群だと言うことを事前に不動産会社に伝え、新たな住宅を本契約する前に2、3日寝泊りさせてもらい、問題なければ本契約する、という方法をとりました。

すべての不動産会社、大家さんがこういった方法を受け入れてくれるわけではないので、住み替えの選択肢が大きく狭められてしまいます。

賃貸契約は2年ごとの更新が一般的です。2年ごとに、更新手数料を払って契約するか、シックハウス症候群に怯えながら引っ越し先を探すかと思い憂鬱になってしまうのでした。

シックハウス症候群は、冷暖房の効率をあげるために家が高気密化していったことにより増加し、社会的な問題になりました。高気密化したことで換気が不十分になり、シックハウス症候群の原因となる物質を含む空気が室内にとどまりやすくなってしまったためです。

昔の日本の住宅であれば、換気は十分にされます。
しかし、冬は暖かく夏は涼しい現在の住宅は、快適な反面シックハウス症候群という新たな問題を生み出してしまいました。

シックハウス症候群への法的対策

シックハウス症候群を軽減するには、十分な換気をすること、そして原因物質となるものを住宅に使わないことがあげられます。

2002年、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」でシックハウス対策のために建材に規制がかけられました。
今年厚労省は、シックハウス症候群など体調不良を引き起こすおそれのある3つの化学物質について、新たに室内濃度の指針値を定める方針を固めました。ホルムアルデヒトなど13種類の物質への規制がなされてから、15年ぶりです。

法的な規制がされると、当然建築業界は使用を控えます。
ただ、今年3種類の物質が追加となったように、その代替して使われる物質がシックハウス症候群を引き起こす新たな原因になるなど、イタチごっこの状態が続いています。

自分たちでできるシックハウス症候群への対策

シックハウス症候群から自分たちを守るために、わたしたちができることといえば、まずは換気をよくすることです。

「朝起きたら窓を開ける」「外出から帰宅したら窓を開ける」といったことを習慣づけましょう。
タワーマンションなどの超高層住宅で窓を開けにくい場合は、換気装置を活用しましょう。


部屋の換気が重要だ (画像=写真AC)

最後に、建築業界で様々な化学物質が使われるのは、わたしたちが安価で便利なものを求めすぎていることも一因です。
安さ優先ではなく、身体のことを第一に考えて、少し高くても自然な塗料を使ったものを選択するなど、わたしたちがお金の使い方を考え直すことでも、シックハウス症候群の問題が減少していくのではと思います。

 
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