売買契約が終わっても売れるとは限らない?
不動産業界ではたとえ売買契約が決まっても最後の最後まで油断は禁物。内覧にはじまり順調に売買契約が成立したとしても、引き渡しの日までにキャンセルというのはよくある話です。たしかに引き渡し間近にキャンセルとは失礼な話ですが、売買契約でも法律でも解除、すなわちキャンセルは基本的に認められている行為です。そこでこれからマンションを売却しようと考えている人に、知っておいてほしいキャンセルの仕組みをご説明していきます。もちろんキャンセルされることもありますが、自分が売却する側としてキャンセルする場合もあるはずなので両方詳しくご紹介していきます。
不動産売却では手付金がキャンセル料の役割
まず不動産の売却は『売買契約の締結』と『物件の引渡し』という、2つの手順を踏みます。一般的に2つの手順の間は、だいたい1カ月ほどの期間があります。この『売買契約の締結』と『物件の引渡し』の間に売買契約を破棄することを、「売買契約の解除」などと言います。要するにキャンセルですね。旅行会社やホテルの予約などのサービスもキャンセル料がかかるのと同じく、金額が高額となる不動産売買でもやはりキャンセル料が発生する場合があります。不動産売買でのキャンセル料にあたると言えるのが、基本的に売買契約の締結時に支払われる『手付金』です。手付金というと売買代金の一部というイメージですが、実はキャンセル料としての解約金や違約金、契約成立の証拠としての役割などを担うものなのです。買い手はこの手付金を放棄する(返却してもらわない)条件で売買契約が解除可能となるのです。
売り主はキャンセルできるのか?
ここまでは買い主が契約を解除した場合の手付金をお話してきました。では今度は『売り主はキャンセルができるの?』ということですが、もちろん売り主も買い主と同様に契約の解除が認められます。ただし!売り主がキャンセルする場合は、手付金を倍にして返さないといけません。そもそも手付金は買い主から預かったお金ですので、それを返すだけでは解除できないのは当然です。条件として、手付金を返す際に同額を上乗せして支払う必要があり、つまり手付金の倍額を買い主に渡すことになります。