先日、高齢の父親と一緒に住んでいたBさんが法律相談に来られました。
死亡した高齢の父親である被相続人には、Aさん(兄)とBさん(弟)という二人の息子がいました。しかし、Aさんはすでに、子のCさんを残して亡くなっていましたので相続人は、BさんとAさんの代襲相続人であるCさんとなります。
ただ、被相続人である父親は、生前に遺言書を書いていませんでした。ある日突然、CさんがBさんを相手に遺産分割調停を申立てをしたようです。
被相続人の所有していた一軒家に、CからすればおじにあたるBが暮らしており、被相続人が亡くなったことから、その所有していた家の相続を巡って紛争となったものの当事者だけでは解決できず、調停になったという事例です。
このケースでも、基本的には被相続人が、Bさんに家を遺贈する遺言書を残していれば、トラブルは防ぐことができたはずです。
Bさんになぜ遺言書の作成を父親に遺言書の作成をしなかったのか聞いたところ、Bさんは、相続人はBさんだけと思いこんでいたようで、代襲相続の知識がすっぽりと抜け落ちていたようでした。
すなわち、兄のAさんがなくなっていたことから、父が亡くなった場合、もはや自分以外には相続人がいないと、Bさんは思い込んでいたのです。ほかに相続人がいないのであれば、当然、家は自分のものになるので、遺言書を用意しておく必要はないと考えていたのでしょう。
しかし、孫(本件では、Cさん)は代襲相続ができます。本事例では、BさんとCさんが平素は疎遠な間柄だったという事情もありました。そのため、ことさらに、代襲相続には注意が向かなかったのかもしれません。
このような、相続人は自分だけと思い込んでいたら、実はほかにも相続人がい・・・・・・という状況は実際よくあり、しかも相続トラブルの大きな原因となることが少なくありません。
「ほかに相続人がいないから遺言書はいらない」などと安心せずに、代襲相続の可能性などをしっかりとチェックして、万全の対策を心がけるようにしましょう。