被相続人の離婚した前妻の子どもに相続を放棄してもらうため「ハンコ」を頼んだが、「ハンコ」を押してくれない、どうしたら良いかという相談が被相続人の死亡時における妻から私どもの事務所にたくさん寄せられます。
このような場合には、このうえもなく厄介でかつ解決困難なことになる可能性が大きくなります。 被相続人である夫に離婚経験があり、前妻との間に子どもがいれば、その子どもにも相続権があります。
そのため、たとえば亡くなった夫名義のマンションを自らの単独所有とし、わが子とそのまま住み続けようとするのであれば、その前妻の子どもから書面に「ハンコ」をもらう必要があります。 しかし、前妻の息子の立場になって、その胸中を推し量ると、おそらくは、「親父の再婚相手とその子どもは、自分を捨てた父親と幸せに暮らしてきたのだ」という、嫉妬に似た複雑な思いがあるに違いありません。中には、強い反感や憎しみを向けてくる者もいるでしょう。 また、離婚に至った経緯などから、前妻が、元夫である被相続人に対して強い恨みを持っていたような場合や、「うちの子どもはかわいがってくれなかったのに、再婚相手との間に生まれた子どもはあんなに大事にしている・・・・・・」というような思いを積もらせてきたような場合には、そうした”積年の恨み”を果たそうと、わが子を使って、”代理戦争”をしかけてくることもあります。 すなわち、ハンコを簡単に押させないばかりか、子どもがとうに成人しているにもかかわらず「養育費を(支払う義務を相続しているのだから)支払え」などと、理不尽な要求をしてくるようなケースもみられます。 このような、激烈な恨みを抱いている者を相手にして交渉を行うことは、大変なストレス となるでしょう。 心労の末、ついには、「もうハンコなどいらない・・・・・・」と住まいを単独で相続することを断念する状況に追い込まれることになった事例をたくさん見てきました。
事前には、遺言書を作成すること、事後には、遺産分割調停を申し立てることで、理不尽な前妻からの請求を適切に処理することが可能です
ので、そのような場合はご相談ください。