(撮影=リビンマガジン編集部)
「過ぎたるは及ばざることがごとし」
なにごともやりすぎは、足りないことと同じように良いことではない。
人間関係においても、お調子者がついつい度を過ぎた言動をしてしまい、後々になって大問題となることもしばしばある。
しかし、「そこまでやるか」と相手に言わせしめ、完膚なきまでにやりすぎたらどうなるのだろうか。
現在、六本木 21_21 DESIGN SIGHTで開かれている「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」は、「つくることの喜びとともに、『壮大なプロジェクト』に向けて歩みを進める表現者たち。(フライヤーより)」の作品や、その制作過程の映像が展示されている企画展だ。
(撮影=リビンマガジン編集部)
実現不可能性99%「カプセルホテル21」は、これまで様々な国の歴史や風土と結びついたホテルを営業する、という作品を作ってきた西野達による展示だ。21_21 DESIGN SIGHTのギャラリー3をすべてホテルにしてしまった。
(撮影=リビンマガジン編集部)
(撮影=リビンマガジン編集部)
中には15のベットルームと、キッチン、シャワー室などがあり、実際に宿泊するイベントも開かれている。各ベットルームには布団が敷かれ、コンセントやモニターもある。
建材や断熱材がむき出しで、人間が寝るための空間が案外単純な構造でできていることに気づく。
(撮影=リビンマガジン編集部)
(撮影=リビンマガジン編集部)
クロアチアとオーストリアの3人組ヌーメン / フォー ユースによるテープ21,120mの床「テープ・トウキョウ 02」は、延べ21,120mものテープによって作られた繭の様な立体物だ。
実際に中に入って踏みしめることもできる。
触ると普通のビニールテープであることがわかる。しかし、何重にもテープを重ねることによって人を持ち上げるほどの強度があることに驚いた。
(撮影=リビンマガジン編集部)
浅井祐介の「土の旅」は壁一面に採取した50種類の土によって描かれた壁画だ。
3mほどの高さ、横は5mほどだろうか。薄い茶色、黒に近い色など、土の色にはこんなにも種類があるのかと感心する。
そのほかにも、クリストとジャンヌ=クロードによる湖面を渡る100,000㎡の布「フローティング・ピアーズ」の制作過程の映像では、イタリア・イゼオ湖の水面や周辺の街を黄色いで覆ってしまうという壮大なプロジェクトを紹介している。湖面に「浮き」を3㎞にもわたって浮かべ、その上に布を敷いていく。大人数の人が制作に加わり、作業を行っている様は、我々がよく知る芸術という範疇を超えた壮大な表現であることを物語っている。
「やりすぎ」は多くの人に迷惑をかけてしまう。しかし、突き抜けて「そこまでやるか」と思わせれば、それは芸術に昇華されるのかもしれない。
芸術の秋、いつもと違った芸術を感じたい人は、足を運んでみてはどうだろうか。
(敬称略)
【イベント情報】
『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展
会場:
21_21 DESIGN SIGHT
場所:
東京都港区赤坂9-7-6
開催期間:
2017年6月23日(金)- 10月1日(日)
休刊日:
火曜日
開館時間:
10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
*9月30日(土)は六本木アートナイトに合わせ、特別に24:00まで開館延長します(入場は23:30まで)
入場料:
一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
お問い合わせ:
03-3475-2121