サザンオールスターズ (画像=flickr)
■曲名:夏の日のドラマ
■演奏:サザンオールスターズ
■作詞・作曲:桑田佳祐
■レーベル:タイシタレーベル
■リリース: 1999年3月
数ある夏を歌うサザンの曲の中で「夏の日のドラマ」をご存じだろうか。
この曲は、サザンオールスターズ43枚目のシングル「イエローマン 〜星の王子様〜」のカップリング曲だ。「イエローマン 〜星の王子様〜」はプログレッシブ要素が強い実験的な曲調が影響したのか、売上枚数は10万枚を下回った。翌年のシングル「TUNAMI」が大ヒットしたこともあってすっかり影が薄いシングルになってしまった。
そのカップリング曲なのだから聞いたことがある人は少ないかもしれない。
軽快なギターリフとキーボードの音、さわやかなイントロで曲が始まる。
「冷えた小部屋に乾いた心寄せて」
歌声を聞いて気付く。桑田佳祐の声ではない。
それもそのはず、この曲はドラム・松田弘がボーカルの曲なのだ。一説には「ドラマー」と、タイトルの「ドラマ」をかけており、桑田がボーカルを指名したという話もある。実は、松田がボーカルを担当する曲はいくつかある。その中でも「夏の日のドラマ」は名曲として人気があるのだ。
「冷えた小部屋に乾いた心寄せて 別れ話や涙は今日も止めにしようか」
冒頭で夏の曲と述べたが、歌われている季節は秋か初冬だ。そこから二人が出会った夏を思い出すという曲である。「冷えた小部屋」は、若さと孤独を感じる言葉だ。若い男の住むワンルームで、彼女との温かい生活があったことが伝わってくる。
「惚れてたはずの仕草も 今はただナマイキな癖にしか見えない」
「濡れた小指と小指絡め波に戯れた 青い果てにある夏の日のドラマよ」
夏にお互いに心惹かれていた情熱が、今はないことを告げている。
「やり直すならあの日のように君を抱こうか
つれない素振りさえ眩し過ぎた夏の恋 帰らない幻の世界」
2番の歌詞は、より二人の愛が戻らないことを強調している。
夏の出会いから、終わりまでを歌う、アップテンポな曲調なのに切ない歌詞だ。
夏の終わり、夕焼けの浜辺を走る車のカーステレオで聞きたい一曲だ。
敬称略