境界確定の方法としての筆界特定
土地や中古住宅を売買するときに隣地との境界・道路との境界を確定することは大変重要なことです。境界が確定されないと、土地の売買が容易に出来ない・塀の設置や建物の配置などに関して思い通りの土地の活用が出来ない・公共事業の用地買収が難しくなるなどの問題が生じます。境界を巡ってのトラブルは大変多く、訴訟に発展することさえあります。最近の分譲地ですと敷地と道路、隣地との境界はしっかりと鋲が打たれていたり見切りが施工されていますが、昔からの住宅街では境界が明示されているところは少ないのが実情です。法務局で閲覧できる公図は明治時代の地租改正の際に作成されたものが多い為、現況と大きく異なる場合があり、公図を基準に境界を確定する事は出来ません。境界紛争になり、話し合いで解決できない場合は、物件のある所在地の裁判所で筆界特定制度の申請を行います。法務省の登記官が、境界の特定を行いますが、この特定に拘束力はなく、最終的に当事者が境界の特定に同意しなければ裁判に発展する場合もあります。つまり、筆界特定のみで境界確定は出来ない場合があることになります。
紛争がない場合は土地家屋調査士の境界確定
そもそも隣地所有者などと境界紛争がない場合、境界確定は売主の費用と責任で土地家屋調査士に依頼して行うことができます。隣地との境界の確定(民民)、道路と敷地との境界の確定(官民)を行います。費用は土地家屋調査士や物件の状況にもよりますが決して安くない金額です。20~50万円以上の予算を見積もっておくのが良いでしょう。費用が出せず土地家屋調査士に依頼する事が出来ない場合は、民民であれば個人間同士のみで境界の確定を行う事が出来ます。但し公的なものではなく、法的根拠はありませんので注意が必要です。この場合は、当事者同士が話し合いで境界を決め、明示して確認の写真を撮り、書面を作成します。その書面に日付の記載・署名・捺印をしてお互いに保管します。費用は写真の印刷代とコピー代程度ですみます。しかし、当事者間同士で確定するよりも第三者の立場の専門家に依頼して境界の確定を行ってもらう方が安心です。