個人情報は漏らさないようにしましょう
投資用物件として分譲マンションを購入し、賃貸の家賃収入を得ている方は割と多いと思います。入居者が入れ替わるごとの修繕や固定資産税・管理費・修繕積立金のランニングコストなど採算があって投資用マンションを所有していると思いますが、マンションの老朽化と共に入居者が思うように募集が出来なくなるなど、管理の負担から売却に踏み切る場合があるかと思います。その際、これまでの入居者の情報をどこまで伝えたらよいのでしょうか。
買主は賃借人とは違い、所有権を意識します。以前どんな人が住んでいたのか、今まで何人に貸していたのか、賃借人はどんな暮らしをしていたのか、退去の理由は何か等、物件の履歴を確認したい気持ちは理解できます。マンションのオーナーは賃貸契約を不動産会社に依頼するケースが多く、入居者と面識がある方は少ないでしょう。賃貸中に近隣からのクレームがある場合は賃貸管理を依頼している不動産会社から情報提供があると思いますが、通常は近隣に居住していない限り、入居中の様子などを知る機会はないと思います。
売買契約の後に、近隣住民から以前の住人のマイナスの情報やうわさが伝わり売主買主の間でトラブルになるといったことを避けるため、個人情報保護法に抵触しない範囲で、伝えておくべき問題点や過去のトラブルがある場合には契約の前に伝えておきましょう。
ヒヤリとした売買契約の具体例の紹介
紆余曲折を経て再婚に至ったご夫婦がマンション購入を決め、無事に契約日を迎えました。契約時には売主側・買主側の仲介業者が同席し、初めて四者(売主・買主・売主側仲介業者・買主側仲介業者)が顔を合わせました。和やかな雰囲気の中で契約が終了し雑談になったところで、買主が売主に対しマンションの売却理由を尋ねました。買主は売主が投資用物件として賃貸していたことは承知していました。
売主の回答は、以下の内容でした。
「長い間賃貸していたのだけれど、入居者が離婚する事になって出て行っちゃったの」
売主は買主が再婚であることを知りませんでした。仲介業者は入居者の退去理由をこの時初めて知りました。一瞬、買主の表情から笑顔が消え、場の空気がピーンと張り詰め緊張が走りました。買主の心情としては、「縁起が悪い」というところでしょうか。
契約解除には至りませんでしたが、売主は仲介業者に些細なことでも伝えおくことをお勧めいたします。