不動産の世界を大きく変えるといえば不動産Tech。本記事でも何度か取り上げてきました。ところが本日、不動産業界を根本から変える法律の改正が明らかになりました。それは「民法」です。
1、民法と不動産の世界
「あの民法?」といわれるほどメジャーな法律である民法。実は「契約」に関して、根拠となっている法律でもあります。不動産を賃貸物件として扱うときにも深い関係があります。
今回の民法改正、実は前回の国会から継続審議となっており、今国会にて成立の運びとなりました。このなかで大きく注目されているのが、「敷金」の存在です。
2、敷金の位置づけが明文化される?
敷金は、賃貸物件を借りるときに借主が相場1-2か月分を支払います(敷金のない物件や地域もありますね)。入居期間中に経年劣化以外の汚損、破損があれば、退去時に敷金から相殺して費用に充てます。最近は喫煙による壁の「変色」も敷金を使っての修復対象として浸透してきました。
とはいえ、どこまでが借主の負う原状回復義務で、どこからが貸主の行うクリーニングの範囲なのか。これまでは実際の裁判例(判例)が積み重なり、新しい事案に適用されてきました。この「枠組み」が、今回の民法改正では明文化される予定です。また、敷金の返還に関しても、貸主と借主にて同意の後に返還する「時期」について不透明さがありました。この部分も明文化されるものと予想されています。
3、連帯保証についても大きな変化が
また、賃貸借において氏名を記載する「連帯保証」。この部分も民法改正によって大きな変化があります。現在は借主の契約不履行(家賃を払わない、居住中に問題を起こすなど)に対して責任を負う位置づけでしたが、改正法制定後はその責任に「極度額」が示される見込みです。つまり連帯保証の上限額が100万円なのか、300万円なのかが明文化されるということですね。
もちろん民法にもとづいて様々な法律が制定されたり、判例が積み重ねられることで、実生活に浸透していくものと思われます。しばらくのあいだ、実務上は法律の施行により何か変わるものではありませんが、大きな注目を集めることになりそうですね。