親が亡くなって実家を相続する際、解体したり、保有して何もしないだけでは資産として勿体ないといえます。一方で「賃貸」に出す選択肢がありますが、子どもの現在の住まいと距離が離れている際、管理をするといっても簡単ではありません。そんななか、法律が制定されて注目の的となっている「民泊」をする、という方法が注目され始めています。
故郷とはいえども今の住まいとは離れた場所で、民泊は実際に可能なのでしょうか。また、気をつけるポイントは何でしょうか。
1、今後の民泊はどうなるのか
2017年3月現在、民泊は旅館業法による登録と、東京都大田区や大阪市など特区による許可によって運営されています。そのため厳密にいえば、現在法律的に認められていない民泊物件も数多くあります。現在は閣議決定の段階ですが、このままの流れだと、この民泊は2017年冬以降、「民泊新法(住宅宿泊事業法)」により全面的に解禁されることが決まっています。
2、不動産管理会社に依頼することで実家の民泊運用も可能
新法では民泊物件を二種類に分けます。ひとつは家主が同じ物件に居住しており(賃貸併用型を含む)、管理がしやすい家主居住(ホームステイ)型、もうひとつが「家主不在型」です。
後者では、たとえば子世代に相続された実家を、家主不在型の民泊物件として活用することができます。その時には「民泊施設管理者」の設置が義務付けられる予定です。とはいっても不動産管理の素人はなかなか難しく、既存の不動産管理会社が担当する形になるでしょう。
不動産管理会社には賃貸物件のビジネスで長年積み上げてきたノウハウがあります。また民泊の運営において大きなデメリットとなりそうな「近隣住民への対応」においても、ノウハウと担当者の高いレベルがあります。
実家を相続した不動産のオーナーとしては今後、新法制定後は不動産管理会社に依頼することで、実家の民泊運用が可能になる、というものです。不動産会社のなかには既にこの流れを見越して体制づくりに動いている会社もあり、今後は不動産会社のひとつの収益源になっていくのではと考えられています。
視点を変えると、今後少子化と東京など都市部への人口流入化にともない、実家活用ビジネスは大きな注目を浴びていくと思われます。何より、2020年には世界中が注目する東京オリンピックの開催が控えています。10年後には、実家の選択肢に「民泊」を活用するのが一般的になっているのかもしれませんね。