家を買うのか借りるのか。以前は「家を買ってこそ一人前」と言われた時期もありましたが、最近はすっかり価値観も変わり、新社会人の段階で「家は買わずに賃貸で」ということを決めている方も増えてきました。一方で「家を買う派」の人が考える理由のひとつが「年齢を重ねると(賃貸物件を)借りられなくなるから、資産としての住宅を買っておいた方がいい、という考え方です。
1、年齢を重ねると賃貸物件が借りられなくなる?
まず前提として、家を買うか借りるか、どちらが「得か」という視点があります。専門家によっても意見が異なりますが、ここは余り違いがないのではないでしょうか。購入した自宅は「資産」となる一方、天災の起こる確率を考えれば「リスク」ととる方もいます。こればかりは確率論ではなく、どちらを取るかという価値観によるところ。確かに一昔前は、定年を過ぎた借主は安定した収入もなく、また住宅内で亡くなってしまう可能性も低くはないため、「賃貸物件を借りられない」傾向は確かにありました。ただ最近はそのような傾向も少なくなっています。理由はもちろん、「少子高齢化」です。
2、少子高齢化が賃貸事情を変える?
少子高齢化が進行していく昨今、「年配者には家を貸したくない」というスタンスの家主は、入居率が低くなっていくでしょう。単純な高齢化だけではなく本来、賃貸住宅の入居者として重要視される若年層(20代、30代)が少なくなっていくことも後ろ盾となるでしょう。
また、賃貸物件の供給過剰もひとつの理由です。建物を建てることで固定資産税が軽減税率となり、また建物の建築に金融機関から借入金を起こすことで相続対策になることもあり、地域によっては完全な供給過剰となっているところも大きな理由です。
3、介護+住宅の展開
もうひとつは、高齢化に対応した「介護+住宅」の展開です。サービス付高齢者住宅(サ高住)など介護施設としての性格を持つ賃貸住宅は、体調に不安がある高齢者にとってニーズを掴んだものです。通常の賃貸住宅より賃料は高めなものの、今後はサ高住に展開する賃貸オーナーも増えてくることでしょう。
このような理由から、賃貸派において「家を借りられなくなる」という可能性は低いと考えられます。20年後、30年後の時勢を読むことは決して簡単なことではありませんが、人生最大の買い物とも称される住宅購入。短期的な視野と長期的な視野を合わせ持って、計画を立てるようにしましょう。