相続が「争族」になる。2015年の相続税法改正以降、相続に関する雑誌やセミナー、ワイドショー、果てはゴールデンタイムのワイドショーに至るまで、様々なところで「争族」という言葉が解説されています。
今週発売の「週刊ダイヤモンド2017年3月11日号」にて「争族の三大要因」という特集が組まれていました。専門家としての解説を加えながら、何が原因になるのか、共有したいと思います。
1、遺言書に関する争族
これだけ遺言書が大切だ!と巷で言われていても、遺言書をまだまだ作らない家庭は多いそう。正確にいえば「作らない」より「作らなかった」という方が正しいでしょう。
「いつかは(遺言書を)作らなければいけないと思い、家族間で共有もしていたけれど、ある日亡くなってしまい何も対策ができなかった」という声をよく聞きます。このなかには遺言書を作成はしていたけど不備があり、認められるものではなかったというケースも。
2、相続人に関する争族
また、相続人の見解の違いも「争族」の大きな理由になります。長男は親が実際に居住していた実家を不動産資産として承継したものの、次男はその分の現金を親が用意できない、という場合も。また、兄弟間は仲がいいけれど、その配偶者も協議に混ぜたために親族としての意思疎通がとれず、争族になってしまった、というケースもここに該当します。
3、分け方に対する争族
不動産を所有しているからといって、十分な現金を持っているとは限りません。また、相続が社会問題化してから国は「暦年贈与」や「特定贈与の非課税措置」といった方法を様々な場所で告知し始めています。
ところが長男に生前贈与で1,000万円の財産を譲渡しても、そこから3年以内に親が亡くなると当該贈与財産は「相続資産」に組み込まれます(贈与税が非課税の場合は加算なし)。
参考:贈与財産の加算:https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4161.htm
また、親に介護が発生した際、その「労力」を相続の場においてどのように反映するのかはとても大切。親自身が遺言によって意思を鮮明にしていればいいのですが、この部分はもっとも「争族になりやすい」部分です。ここに不動産の所有権が絡むと、専門家でもなかなか解決策を見いだせない難解なケースにも変わります。
「争族」になる理由をしっかりと認識、なるべく早い時期に可能な限りの準備を進めたいものですね。