30年や35年の長期で住宅ローンを組んで家を買ったが、様々な事情で売却を考えるようになった。一般的には「住宅ローンが残っているうちは売却できない」といわれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
1、住宅ローン返済を「完了」する
売却に際し残っている住宅ローンを返済する必要があります。たとえば返済期間が5年間残っている場合は、その5年分のローンを「まとめて返済」することによって売却を可能とすることができます。もちろん、この繰上げ返済をする部分は「元金」のみであり、「利息」の部分を返済する必要はありません。
また、繰上げ返済をする期間は「売却完了」までです。不動産売買には、「売買契約」と「引渡し」があり、売却完了は一般的に後者を指します。売買契約から引渡しまでは1カ月や2カ月のあいだが空くことも。売却を考える際は期限までに残債の支払が可能なのか、スケジュールを組んで検討するようにしましょう。
2、「任意売却」という方法
もちろん「住宅ローンを繰上げで返済してから売却する」ことは決して敷居の低いものではありません。繰上げも含めて住宅ローンの返済と向き合っているのに、この段階で繰り上げ返済ができる!という状況になっていることこそ少ないはずです。ローンの返済はできないけれど、売却したい・・。その際は、「任意売却」という方法を使うことになります。
任意売却とは、一般的にいわれる「競売」と似ている制度です。競売で差押えをする前に債権者とのあいだで話し合いを行い、一般の中古住宅に次ぐ水準で売却手続きを進めようとするものです。ローン残債も継続したまま売却し、売却後に残債を「分割」して支払っていきます。不動産売却の一般相場とどれくらいの差があるかはケースバイケース。競売のように裁判官ではなく、任意売却の専門業者が売却手続きをリードします。
たとえば40歳で念願のマイホームを購入する場合、「どうにかなるさ」と定年後にも住宅ローンを設定してしまう購入者がいます。60歳の定年の段階で繰上げ返済をしようにも、老後資金を準備しなければならないタイミングではとても困難です。その時に競売で二束三文の売却額になるよりは、任意売却を上手に活用して手続きを進めるようにしましょう。
もちろん、秘匿性の高い任意売却の問い合わせは、外に漏れることはありません。直前になってから相談するよりも、長いタイミングで様々な可能性を考え、先行して動いていくことが大切です。