Fintech(フィンテック)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「金融×IT」の造語で、2016年の日本経済界にとって最大の注目ワードとなりました。現在、金融の枠に留まらないテクノロジーの革新技術は金融以外の「×Tech」に広がるといわれています。可能性が高い分野と目されているのが「ReTech(不動産)」です。
1、ReTechとは?
不動産取引のことををrealestate(リアルエステート)といいます。Retechはこの最初の二文字をとって「リーテック」と呼ぶのが一般的です。内容としては不動産取引をめぐる様々な部分、特に煩雑さが残る旧来の部分を、テクノロジーの力で解決しようとする動きと投資領域、そして技術自体を指します。このRetechは不動産売却においても様々な点があります。
2、ReTechが「便利に」変える部分
(1)膨大な必要書類
売却を含む不動産の手続きでは莫大な書類を必要とします。不動産売買の契約書や重要事項説明書、物件の見取り図や近隣の地図など、不動産売買の交渉では莫大な書類を必要とします。印鑑や公的な証明書が必要なため、売買の時期を遅らせてしまっているケースも。これらを「オンライン」でやり取りできるようにすればどうでしょう。不動産を売りたいという希望者にとって、行政から取得した情報をリアルタイムで不動産会社に転送し、買い手に渡すようにすることは十分に可能です。
宅建(宅地建物取引士)の証明が必要な部分も、ライセンスカードのスキャンデータを重要事項背説明書に添付するだけで十分に対応可能です。わざわざ買い手、売り手両者を時間調整して不動産会社などに集まって、取引士のカードを提示して口頭で説明する必要はどこにもありません。売買にかかる時間も大きく短縮化されることでしょう。
(2)不動産手続きがAIになる日
また、更に広義で見ると、不動産はAI(人工知能)の活躍する領域が多いといわれています。クローズではない情報は、IDとパスワードの発行、そして各種の認証を活用することで、「人は要らなく」なります。投資目的で不動産を売買する方も多いため、連動する市況や収支計画、予想分析などともテクノロジーの力で連動できると考えられています。
反対派のなかには不動産物件まで「AIでは運転できないではないか」という指摘もありますが、不動産Techより早い段階で一般化するといわれているのが「自動車運転の自動化」です。物件まで自動車が人の手に頼らず、物件ではAIが案内して、不動産会社にはまた運転を自動化した自動車が戻ってくる。そんな時代も遠くはないかもしれませんね。