2017年2月9日、新聞記事上に久し振りに「民泊」の記事が踊りました。今年の春に施行が予想されている「民泊新法」に関して、180日での合意が間近だった「上限日数」が条例によって短縮化できるというものです。今回の記事を見て驚いた関係者も多いでしょう。
1、民泊の日数上限撤廃案について
2月9日の日本経済新聞によると、何日までの宿泊を「民泊」として認められていくかという「日数上限」は民泊新法の制定における最大のポイントとなってきました。民泊に水を差すと無制限を訴える民泊オーナー・管理する不動産会社側と、既存の宿泊者減に対する懸念から年間30日以下での適用を訴える旅館経営者側で交渉が続いてきました。仲介案として年間180日以下を民泊として認める案が採用されました。
今回の記事は現段階ではまだ与党案ですが、この「年間180日以下」を地域の条例で変えられるもの。誤解を恐れずにいえば、骨抜きに出来るというもの。定義として「民泊稼働によって生活環境が悪化した場合」とされていますが、何が生活環境の悪化にあたるか不透明なところがあります。いずれにしても、民泊の導入に対して阻害要因となるということは間違いないようです。民泊をめぐる様々な利害を踏まえ、バランスのとれた策を追及するなかで提示されたアイデアなのでしょう。
2、温泉など観光地での対応が焦点
今回の「年間180日以下」に対して(主に)外国からの観光客が民泊に流れることを懸念する観光地からの反対の声が高いようです。また「格安」という印象が強い民泊と競合することによって、既存の宿泊場所も値下げを余儀なくされ、収益を圧迫するのではという指摘があります。
今回の与党案はあくまで草案です。規制緩和の流れやシェアリングエコノミーの導入に向けた世の中の動き、そして現状では対応し切れない外国からの環境客の増加に対応する方向性として「民泊を認める」方向になっていくことがベストという見解はなお有力です。そして民泊拡大の根拠ともなる2020年の東京オリンピックまであと3年。オリンピック開催自体はほんの一時期ですが、夏の五輪開催地として世界中から「日本」に興味を持って貰える数年間がやってきます。
まずはグランドデザインとしての民泊新法。2月現在、まだ法律の細かいところまでは伝わってきませんが、今回の国会で制定に向かうことはほぼ間違いのないものと思われます。今後の「着地点」に注目していきたいところです。