1.不動産の媒介契約の種類
不動産取引における媒介ですが、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。ここで復習しておきますと「専属専任媒介」は1業者のみに依頼するもので、本人が直接取引相手を見つけてはいけません。「専任媒介」は1業者のみへの依頼ですが本人が直接取引相手をみつけても構いません。「一般媒介」は複数の業者に依頼しても良く、また本人が直接取引相手を見つけても構いません。
2.媒介契約の性格
この媒介契約ですが成功報酬ということが明記されています。成功しなくても一定の報酬が必要な場合のある「委任」契約ではなく、成功しなければ一切の報酬支払い義務のない「請負」の類型に該当します。また媒介契約は口頭では成立しません。宅建業法に基づいた重要事項説明を経て書面で媒介契約を締結し、結果として媒介が成功してはじめて報酬請求権が発生します。
3.微妙な問題
原則は上記の通りです。宅建業者が不当な報酬請求をしないように厳密な規定が設けられています。では宅建業者から紹介してもらった物件を直接相手と成約したときは報酬請求権は発生しないでしょうか?実は世の中にはそういう人もいます。まずこんな物件がありますよと地図を渡した程度ではまず報酬請求権は認められませんが、かなり具体的なところまで交渉が進んでいた場合は口頭の媒介契約が認められた判例もあります。
例えば宅建業者はみんな親切でいろいろな物件を紹介してくれますので、他業者から紹介してもらった物件とダブっていたりします。信義則としては、これは他から入手してますといえばいいのですが、プロでなければそこまでしないことも多いです。後で成約が近づいてから、あの物件はうちで紹介したはずだと言われて困ってしまうことがあります。ただ、これは仮に裁判になっても具体的な交渉を依頼していないので報酬支払義務は発生しません。
物件の内覧をすませた段階あたりからだと場合により買主や借主に報酬支払義務が認められる可能性があります。売主や貸主側でも宅建業者に依頼し、その業者の紹介顧客と直接契約しただけでは報酬請求権は発生しませんが、宅建業者が物件の明細や価格の具体的な提示を顧客と行っていたことを知っていた場合には口頭の媒介契約や商法上の報酬請求が認められる可能性があります。大切なことは常識的な判断ということですね。