1.鉄骨造とは

 初歩的ですみません。鉄骨造ってどんなものでしょうか?そうですね。L型や角形・H型等の鉄骨を柱に使って床とパネル壁で仕上げる建物ですね。倉庫なんかは鉄骨造がほとんど。なんとなくイメージはできます。

 では鉄骨造の床ってどうでしょうか?「鉄骨造だからたぶん鉄板かな?」これも正解です。柱と接合した鉄板をしいて、その上にワイヤーメッシュという鉄筋をいれて、コンクリートを打設することが多いです。なぜコンクリートが必要かというと鉄板だけでは遮音性が低いし、かといって分厚い鉄板では重すぎるからです。床の仕上げは鉄筋コンクリートでも鉄骨造でもほぼ同じ工事となります。じゃ鉄骨造でもコンクリート敷いてあるから上下の音は鉄筋コンクリートとかわらないかというと、鉄筋コンクリートのほうが床が厚かったり、仕上げに吸音材が使うケースが多いなどでやはり鉄筋コンクリートが有利です。

 鉄骨造では壁の内部は断熱材程度でスカスカです。たたけば軽い音がします。コンクリートでつくるとその部分の耐力が強くなりすうまくいかないようです。ここでも遮音性では鉄筋コンクリートに劣後します。

2.鉄筋コンクリート造

 一方、鉄筋コンクリート造は鉄筋を配筋してコンクリートで構造を作るものです。鉄筋であって鉄骨ではありません。鉄筋つまり針金の太いやつです。コンクリートは強いのですが、曲げる力が加わると、ポロっと折れる特徴があり、一方鉄はぐにゃーと柔軟性があるので両者を組み合わせた構造です。鉄筋コンクリート造では床も壁もコンクリートで遮音性抜群です。鉄筋コンクリート造は構造で分類すると柱と梁で建物を構成するラーメン構造と柱がなく、壁で建物を支える壁構造があります。実は壁構造のほうが強度的には優れるのですが4階程度以上は難しいのと、大きな窓が取りにくいとか、室内に分厚い耐力壁が必要になることが難点で最近は減ってきています。

3.結局どちらがいいのか

 遮音性からいくと鉄筋コンクリートに軍配があがりますが、大声で話すとか走り回るでなければ鉄骨造でも生活上の遮音性を保持した建物もあります。鉄骨造のほうが工事費が安いので家賃が安い物件も多いかもしれません。耐震性や耐用年数ですがこれは一概にはいえません。一般的には鉄筋コンクリート造のほうが長持ちすると考えられていますが、両者は劣化の理由が異なります。

 鉄骨造は中の鉄骨がさびて減っていくことで強度が落ちていきます。年間数ミリというレベルです。さびなければ強度は維持できますし、そもそも鉄骨造の建物が劣化で使えなくなる例はほとんどありません。古くなって借りる人がいなくなったので建て直すケースが多いです。

 一方、鉄筋コンクリート造はコンクリートの劣化と鉄筋の錆化の両者が起きます。特にコンクリートの劣化で、クラックなどが生じますが、こちらも実は100年レベルの耐久性を有すると考えられています。適切な管理が行われていれば両者に耐久性の違いはないのではないかなと私は考えています。

 

 

 

 
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