今回は「瑕疵担保責任」について説明します。
「瑕疵(かし)」は法律で使う言葉なので、一般にはあまり使いませんね。言い換えると「欠陥」「不備」という意味であり、不動産の取引ではとても大事な言葉です。
不動産の契約書はだいたいひな形通りですが、大事なのがこの瑕疵の扱い、もうひとつは土地の取引での実測の扱いでしょうか。
不動産の売買では通常、売主は一定期間、物件に瑕疵があった場合、その責任を負いますよということになっています。これを「瑕疵担保責任」といいます。
●瑕疵担保責任の判断基準
担保というのは「責任を負いますよ」という意味です。大事なのはこの瑕疵ですが「隠れたる」瑕疵でないと売主に責任を負ってもらえません。「隠れたる」とは、普通の人なら気が付くかどうかが判断基準で、「私は気が付かなかった」は通りません。場合によっては売主の善意で責任を負ってもらえるかもしれませんが、法的には通らないということです。
●シロアリ、排水、壁……内見でのチェックポイントは多数
よくあるのが「シロアリ」。
家を買って住んでみるとシロアリが柱に穴をあけていた。床下はシロアリだらけで駆除できるのか、耐久性は大丈夫なのかわからないというケースがあります。これは隠れたる瑕疵でしょうか。
床板をめくらないとわからないのなら隠れたる瑕疵ですが、柱をみればシロアリの痕跡があるというのなら隠れたるとは言い難いです。「私は内見の時に気がつかなかった」という反論はちょっと認められない場合が多いと考えられます。
ほかにも排水がつまっていて調子が悪い、壁が汚れているなどの内見で気が付きそうな点は、瑕疵担保を負ってもらえない可能性があります。内見はないがしろにするべからずですね。
●免責にはご注意を
もっとも、この「隠れてない」瑕疵に関する責任は買主が一人で負うものではありません。通常気が付くような点で買主の重要なリスクになる点は仲介業者も気が付くはずですから、よく説明をする義務があります。仮に契約時に重要事項でこのような点が説明されていなければ、売主の瑕疵担保責任を追及できなくても、宅建業者が責任を負うべき場合も多いと考えられます。
さらに、この瑕疵担保責任、売主が宅建業者であれば「売主が責任を負わないよ」という特約は不可ですが、売主が宅建業者でなく、個人の場合などは契約自由の原則から売主免責とする特約をすることも可能です。さらには、瑕疵担保免責をさらっと契約書に入れられないよう注意することも大切でしょう。