2月1日、マンション内に設けられた俳優養成所のレッスン生たちが立てる騒音がうるさいとして、マンション住民がレッスンの差し止めを求める訴えを起こしていることが報道されました。マンションでも戸建て住宅でも、楽器の音や、テレビ、子どもの足音など騒音についてのトラブルが起こることは、残念ながら多いです。
楽器演奏ができる家は売れやすい?
楽器演奏ができる物件を専門に扱う不動産業者や検索サイトが登場しています。音大に通うなど楽器演奏のプロとしての活動を目指す人には、好まれる物件と言えます。
では、これから不動産を売却するなら、防音工事をして楽器演奏ができる物件に変えてから、売却するほうが有利なのでしょうか?
実は、必要な防音工事の種類や費用は、「どんな楽器を、どのように演奏したいのか?」によって違ってきます。趣味で昼間だけピアノを弾く人には十分な設備でも、プロのドラマーとして長時間の練習が欠かせない人には不足、ということもあるのです。
また、音楽教室を開きたい人は、楽器の音だけではなく、人の出入りに関する騒音や振動についても、配慮が必要でしょう。
物理的な騒音対策以上に大切なこと
騒音が問題となり、ご近所の方とのトラブルに発展してしまうのは、実はご近所とのコミュニケーション不足、思いやりの不足が大きな原因と言われています。
普段からお互いの顔や事情を知っていれば「お互い様」として許容できることも、まったく顔の見えない人が騒音を立て、お詫びの言葉もなく過ごしているという状況では、「うるさい」と腹が立ってしまうものです。
不動産売却の際には、防音工事を行って物理的に防音効果を高めるだけではなく、「これまでに騒音トラブルがなかったこと」が重要です。既に騒音トラブルが起こっている物件を購入する人は、初めから厳しい目で見られることになります。
騒音トラブルが起こっていることを黙って、不動産を売却した場合には、後に告知義務違反を問われたり、売買契約の解除などの事態に発展する可能性もあります。
楽器演奏ができる物件、あるいは子育てによる騒音を心配しなくていい物件として、防音工事を行ってから売却するという方法は、1つの選択肢となり得ます。でも、不動産売却にあたって問題が起きないようにするため、そして新しい住人ができるだけ騒音トラブルに巻き込まれないようにするためにも、騒音トラブルを起こさないで過ごし、御近所とのコミュニケーションがとれる状態にしておく、ということが重要です。