前回は自宅サロン向けの物件として売却したい場合について書きました。SOHOやノマドなどのワークスタイルが広がっているため、住宅とオフィスの境目がなくなってきている昨今ですが、もしも「住宅だった物件をオフィスとして販売する場合」には、注意した方がいい点もあります。
オフィスに必要ない施設が住宅にはある
これまで住宅として使われていた物件には、浴室があったり、ベランダには洗濯物を干すスペースが確保されていたりするでしょう。これらは、オフィスでは必要性が低い部分です。
また台所やダイニングスペースも、住宅で生活している場合に比べて、オフィスで仕事をする場合には、必要性が低いスペースとなるでしょう。お客様を迎える場合に備え、お茶やお茶菓子の準備ができる設備はあったほうがいい、という程度です。
土足で出入りできるほうがいい?
日本では「自宅に帰ったら靴を脱ぐ」という生活が一般的ですが、逆にオフィスでは土足での出入りが当たり前と感じている人も多いでしょう。また店舗兼住宅として売り出す場合には、お客様に土足で出入りしてもらえるように、床のつくりを変える必要があるでしょう。
ただし、土足での出入りを前提として、床のつくりを変えてしまうと、再び住宅として売り出すことが難しくなります。
また、茶道や華道などの教室として使いたい人や、民家の雰囲気を残したレストランの経営者、保育施設や介護施設として住宅を活用したい企業などに物件を売却する場合には、あえて住宅としてのつくりを残しておく方がいい場合もあります。
以上のことから、「住宅として売却してきたけれど、売れないから『オフィス向け』という言葉をつけてみよう」という考えだけでは、やっぱり売れないという結果が残ってしまうことが分かります。
住宅からオフィス向け物件へのリフォームを行うなら、
●その地域でオフィスや店舗を構えるメリットはあるか? 物件への需要はあるか?
●どのような業種の人が、その地域での起業やオフィス移転を希望するか?
などを考えた上で、リフォームをするかどうか検討しましょう。