海外への長期転勤や、リタイア後の海外移住などに伴い、日本国内の不動産を売却したいという場合、あるいは海外在住の人が日本国内の不動産を相続してしまったが売却してしまいたいという場合、いったいどうすればいいでしょうか?
海外在住のまま日本国内の不動産を売却できるか?
結論から言うと「できますが、手続きと課税関係が少し煩雑になります」。
日本在住の人(居住者)が不動産を売却する場合、次のような書類が必要です。
・不動産権利証(登記識別情報)
・印鑑証明書
・実印
・住民票
しかし、日本国内に住所がない場合は、印鑑証明書や住民票が取れませんので、代わりの書類として次のようなものが必要となります。
・サイン証明書
・在留証明書
さらに「いったん海外へ行ったら、何度も日本に来て契約や決済に立ち会うことができない」という人もいるでしょう。その場合、代理人を立てることになります。この場合、上記の書類に加えて、次のような書類も必要となります。
・代理権限委任状
・代理人の印鑑証明書
・代理人の実印
・売主と代理人の本人確認書類
課税関係で注意すること
海外在住の人が日本国内で不動産の売却する場合課税関係でも注意しなければならないことがあります。
まず日本国内に住所がなく、かつ、現在まで引き続いて1年以上日本国内に居所がない人のことを「非居住者」と呼びます。非居住者が日本国内で不動産を売買したり、賃貸に出したりした場合は、日本で確定申告が必要となる場合もあります。
確定申告が必要となる場合は、納税管理人(確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人)を定め「所得税の納税管理人の届出書」を、その人の納税地を所轄する税務署長に提出する手続きが必要です。
さらに、1億円以上の不動産の売買を行った場合、買主が売買価格の10.21%相当額を源泉徴収する義務が生じるのです。
不動産の売買金額が1億円以下、かつ、購入した個人が自己またはその親族の居住の用に供するためのものである場合には、は、源泉徴収の必要はありません。
以上のように、注意点はありますが、海外在住の方が日本国内の不動産を売却したり、賃貸収入を得ることはできます。在留証明書の取得に時間がかかる場合もありますので、計画を立てて手続きを進めていきましょう。