3月22日、国土交通省が2017年の地下公示価格を発表しました。新聞やテレビのニュースでは、東京・大阪・名古屋の三大都市圏の商業地、住宅地の価格は4年連続で上昇し、とりわけ商業地は年々上昇ペースが加速しているといった内容を伝えていますが、公示価格って一体何を意味するのでしょう。基準地価や路線価など、なぜ土地にはさまざまな価格があるのでしょうか。
公示価格、基準地標準価格、相続税路線価、固定資産税評価額、土地にはこれら4つの価格があります。さらに、これらに加え実勢価格も考慮する必要があります。公示価格は国土交通省が毎年1月1日を基準日とし3月下旬に発表する価格です。基準地標準価格は都道府県が、公示価格を補う目的で毎年7月1日を基準日とし9月下旬に発表します。路線価は各国税局が毎年1月1日を判定の基準日として評価するもので、公示価格の80%相当を評価水準としています。固定資産税評価額は、市町村が固定資産課税台帳に登録する価格で、3年に1度評価替えが行われ、前年の公示価格の70%相当が評価水準とされています。これらは公的機関が土地取引の目安となることを目的としたり、課税の基準とするためのものですが、実際に土地の売買に用いられるのが実勢価格です。
スーパーで買い物をするときには品物に表示された値段で買うことが常識です。映画を観るときにも値切る人などいません。その一方で、車を買うときには値引き交渉をせずに定価で買う人はほとんどいません。私たちは、ものの価格には定価と実勢価格があること無意識のうちに理解しています。
不動産の購入には多額の資金が必要となります。人によっては、一生に一度の経験となるかも知れません。知識や経験も無い素人が不動産の価値を正確に判断し、適正な価格を算出することは非常に難しいことです。さまざまな価格が、さまざまな機関から発表されていることをムダだとか、ややこしいと感じる人がいるかも知れません。しかし、こうした仕組みがあるからこそ、我々は日本中の地価の動向を正確に把握できるのです。