土地を所有していれば、当然固定資産税がかかりますし、相続が発生すれば相続税の対象となります。しかし、固定資産税が非課税となったり、相続税がかからない土地があることをご存じですか。課税地目が公衆用道路となっているケースや、私有道路で通り抜け道路に該当するなどの場合には、固定資産税が非課税となります。通り抜け道路については相続税も非課税となります。ただし、相続税においては登記簿の地目が公衆用道路であっても、袋小路のようにもっぱら特定の人のみしか通行しないような道路は非課税ではなく、通常の評価額の30%の評価となります。
また、都市公園用地については無償貸付の場合には固定資産税は非課税となりますが、相続税の評価においては非課税ではなく、一定の条件を満たすときには通常の評価額の60%相当額となります。
こうした、非課税の私道や土地については、相続が発生した際に、相続登記を行わずそのままにしているケースがよくあります。非課税のため、その土地の存在すら忘れているというケースもあるでしょうし、そもそも有効に利用することができない土地ですので、相続人にとっても興味が無いというのが実際のところではないでしょうか。しかし、例えそのような私道や公園用地であっても、所有権があります。相続が発生した場合は、その私道部分や公園用地についても遺産分割の対象としておかなければ、その土地の売却や収用があった場合に、改めて相続登記を行わなければ、土地の所有権移転ができません。そうなれば、対象となる相続人が既に無くなっている場合もあり、手続きが非常に複雑で労力がかかることが予想されます。
このような非課税の土地はややもすれば、相続財産から抜け落ちてしまいがちです。しかし、きちんと遺産分割を行い、相続登記をしておかなければ、将来にトラブルとなる可能性があります。こうした土地は固定資産税課税明細書の地目に「公衆用道路」や「都市公園用地」という記載があると同時に、課税標準額は「非課税」となっていることから、見当をつけることが可能です。固定資産税課税明細書を時には見直してチェックしてみることも必要ではないでしょうか。