案外多くの人が未利用地を所有しています。未利用地とは読んで字のごとく、更地のまま放置された土地です。特に相続により入手した場合には、長期間未利用地のままということが良くあります。未利用地は、何の収益を生むことがないうえに、固定資産税や相続税の重い税負担を避けることが出来ません。もし、未利用地があるなら、その税負担について考えてみませんか。
まず手許に「固定資産税の課税明細書」を準備してください。そこには所有している固定資産の評価額や地積、特例適用の有無などが記されています。このなかで、際だって大きな固定資産税が課されているような土地はありませんか。何も建物が建っていない土地はありませんか。相続で土地を入手した人は特に注意が必要です。いわゆる未利用地を無意識のうちに保有しているということが良くあるのです。
なぜ、未利用地を放置すべきでないのか。それは、未利用地には多額の固定資産税が課され、税負担が重いからです。未利用地にかかる固定資産税は最大で固定資産税評価額の70%が課税標準とされています。一方、住宅の敷地については住宅用地の特例が適用され、200平方メートル以下の部分については6分の1に軽減されています。未利用地の固定資産税は、住宅用地と比較するとはるかに高いのです。
では、未利用地をどうすればよいのでしょう。ひとつの解決策として賃貸住宅の活用は有効な手段です。特に相続税においては賃貸住宅の活用は有効な手段です。賃貸住宅の敷地は、借地権・借家権により利用の制限を受けていることから、その部分を控除して評価されます。さらに一定の条件を満たせば、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例を受け、相続税評価額が減額されます。賃貸住宅の建物についても、借家権の割合を控除して評価されることになります。
未使用地は収益を生み出さないことから、毎年の固定資産税が大きな負担となりかねません。賃貸住宅経営には当然リスクを伴うことから、安易にすすめることは出来ませんが、毎年の固定資産税負担が老後の資産形成において大きな不安材料となるようでは、土地保有も本末転倒です。こうした未使用地が眠っていないか、もういちど「固定資産税の課税明細書」をチェックしてみても良いのではないでしょうか。