不動産を所有していると税金の問題から逃れることは出来ません。相続が発生すると相続税、所有しているだけでも固定資産税が課税されます。相続税を安くしたいという方はたくさんおられるのですが、固定資産税については多くの方が案外無頓着なことに驚かされます。「固定資産税は節税できない。」と、あきらめる必要はありません。土地評価は相続税は利用単位ごと、固定資産税は1筆ごととされており、評価の単位が異なっているのをご存じでしょうか。この評価単位の違いを知っているだけで、上手な文筆により節税を図ることが出来るかも知れません。
Aさんが所有する1筆の土地にAさんが所有する建物とBさんが所有する建物が建っていたとします。Bさんの建物の敷地部分はAさんがBさんに賃貸しています。このケースでは土地はあくまでAさん所有の1筆の土地であるため、一体として固定資産税の評価対象となります。しかし、相続税ではAさんの建物が建っている敷地と、Bさんの建物が建っている敷地は別々に評価されます。それならばと、この敷地を単純に分筆してしまえば良いのかと言うと、実はそれでは固定資産税の節税効果はほとんど期待できません。
では、どのようなケースで節税効果を期待できるのでしょうか。分筆することで、それぞれの土地の価値が大きく異なるようなケースでは節税効果が期待できるのです。具体的には、この土地が角地で土地全体の2面が道路に接しているとしましょう。土地の分筆の方法によっては、1方の土地は2面が道路に接し、1方は1面のみが道路に接することになります。2面が道路に接している方が土地の利用価値は高まり、評価も高くなります。うまく分筆を行うことで、それぞれの土地の利用価値に差が生じることとなったのです。
分筆後は1方の土地は2面が道路に接した角地として、そしてもう1方は1面しか道路に接していない土地として、個別に評価されることになります。こうして、1方の敷地部分の評価額が下がり、固定資産税を節税できる可能性があるのです。すべての土地がこのようなケースに当てはまるわけではありませんが、「固定資産税は節税できない」と、あきらめてしまうまえに、上手な分筆の方法を考えてみるのはいかがでしょうか。