登記簿にはそれぞれの土地の地目が記されています。同様に固定資産税の課税明細書にも地目が記されています。それぞれを見比べたことがあるでしょうか。登記簿では「田」とされていますが、固定資産税の課税証明書には「宅地」とされているなど、両者で地目が異なっているケースが案外あるのです。なぜ、このような違いが生じるのでしょうか。
登記簿の土地の地目には宅地や畑、田など23種類の地目があります。一方、固定資産税の課税明細書には9種類の地目が定められています。両者の最も大きな違いは登記簿では登記の時点で地目が記されるのに対し、固定資産税の課税明細書は1月1日時点の利用状況に応じ、決定されているのです。冒頭に例としてあげた、登記地目が「田」であるにもかかわらず、固定資産税の課税明細書では現状地目が「宅地」となっているケースでは、登記地目は田であっても、現状は宅地であり、固定資産税は宅地として課税されているということになります。
固定資産税の課税明細書の地目は当然ながら固定資産税の課税に反映されます。では、相続税評価においては、どの地目で土地の評価が行われるのでしょうか。地目が異なれば、評価額には大きな評価額の差が発生することから、この問題は無視できません。相続税評価におおける地目は、相続発生時の利用状況によるとされており、ここでとりあげた例では、登記地目が例え田となっていても、宅地として評価することとなります。
ほかにもよく目にするケースとして、登記地目が宅地となっていても、駐車場や資材置き場として使われている土地があります。こうした土地は固定資産税や相続税においては雑種地として評価されています。また、山林を切り開いたり、田畑に太陽光発電設備を設置した土地も雑種地として評価されます。
相続税評価では地目だけではなく、その土地に誰の建物が建っているかによっても評価方法が異なります。さらに軽減率が適用されているかどうかなど、さまざまな情報を読みとることで、土地のおおよその利用状況の見当をつけることは可能ですが、後のトラブルを未然に防ぐためには、住宅地図や実際の現地調査で建物の所有者や実際の利用状況を確認しておくことが必要です。