固定資産税の課税ミスが全国で頻発しているのをご存じでしょうか。その殆どは住宅用地の特例措置などを市町村の担当者が理解していなかったことによる、過大徴収なのです。不動産投資を行えば、その収支は投資家自身が申告を行います。事業を行えば、その収支は事業主自身が申告を行います。しかし、固定資産税は納税者が申告するのではなく、市町村が土地や建物の評価額を決定し、納税者に税額を通知する仕組みです。多くの納税者はそこに誤りがあるとは思ってもいません。しかし、その誤りが次々と明るみになっているのです。あなたが納めた固定資産税、ひょっとすると払いすぎていませんか?
なぜ、固定資産税の過大徴収が頻発するのでしょうか。市町村が固定資産税の税額を決定するにあたっては、いくつもの複雑な計算が必要になります。土地、建物、事業用償却資産は、それぞれに評価基準が細かく定められ、さらに評価額に対して政策的に様々な調整や特例、軽減措置が設けられ、これらを加味して課税標準額を算出するのですが、これらは自治体側も音を上げるほど複雑なのです。その結果、ミスが頻発。納税者もそのミスに気付くことは至難の業なのです。
固定資産税の取られすぎ放置されてきた背景には、その複雑さに加え、一般的な民家では取られすぎがあったとしても還付額は年間数千円から数万円程度と、少額であること。さらに、還付されるのは地方税法で請求権が5年とされていることなどがあります。相続税の還付はビジネスとして成立しても、固定資産税の還付は手間と労力、そして還付額を考えるとビジネスとして成立しないことから、これに取り組む税理士も少ないことから、固定資産税においてはこのような状態で放置されています。
それでも、我々自身がチェックできるポイントはあります。毎年4月から6月頃には固定資産税、都市計画税の納税通知書と課税明細書が手元に届くはずです。まずはその内容に誤りが無いかをチェックすることが必要です。取り壊した建物に課税されていないか、土地の地目や面積が誤っていないか、少し難しくなるが様々な軽減措置がきちんと適用されているかをチェックできれば、取られすぎを防ぐことはある程度防ぐことができる。
それでも、固定資産税の仕組みを完全に理解し、正確に評価を行うことは困難だ。しかし、納税者自身も意識することで、取られすぎを防ぐことができる可能性は高まるはずだ。