想定外のトランプ候補が次期米大統領に選出された米大統領選。一体どれだけの人がこの結果を予想したでしょうか。「トランプが次期大統領に選ばれたなら、株式相場は大暴落し、為替は円高に向かう。」多くのアナリストや投資家はそう予想していましたが、蓋を開けてみれば、結果は全く異なっていました。さて、トランプ候補の当選が日本の不動産投資にも大きな影響を与える可能性が出てきました。
トランプ候補が大統領選に勝利すると、マーケットは想定外の動きを見せました。金利の上昇です。金利の上昇が不動産投資にどんな影響を及ぼすか考えてみてください。不動産投資の多くは融資を前提としてます。不動産投信宅(REIT)も同様です。金利の上昇は不動産投資の収益を確実に圧迫することになります。それが不動産投資に影響を与えないはずがないでしょう。
では、なぜ金利が上昇したのでしょう。トランプ氏が所得税・法人税減税と財政出動を示唆したことが発端です。選挙運動中は過激な発言を繰り返してきたトランプ氏ですが、当選直後の「勝利宣言」では、一転して調和を重視する紳士的な演説を行いました。議会では共和党が上院と下院の過半以上の議席を確保していることも、「ねじれのない安定した政治」への期待に繋がっています。先行き不透明な相場では投資家は株式ではなく、債券を買います。しかし、大統領選挙が終わり、懸念されていたトランプリスクが杞憂だったと知るや、債券から株式へと資金の移動が起こったのです。それこそが、金利上昇の原動力です。
こうした資金の流れは米国だけにとどまりません。日本でも債券から株への資金の流れが起こっています。今後も長期金利が一本調子で上昇する。株が上昇し続け、債券が売られ続ける。本当にそんなことが今後も継続して起こると考えるのは早計ではありますが、そのリスクを考えなければいけない時期が来たのではないでしょうか。金利は「炭鉱のカナリア」とも言われます。経済に変化が起こるときには真っ先に金利にその兆候が現れるからです。米国の長期金利の上昇は、ひょっとすると我々に何かを訴えているのかも知れません。炭鉱のカナリアが発する声に謙虚に耳を傾ける時期に来た可能性があるのでは内でしょうか。