今やすっかり市民権を得たREIT(不動産投資信託)。毎月分配金が入ってくることもあり、個人投資家の間では根強い人気があります。金融機関の販売手法のマズさもあるのでしょうが、なかには現物不動産投資とREITのそれぞれの特徴を正しく理解できていない投資家も少なからずおられます。そこで、現物不動産投資とREITの違いについてお話しさせていただきます。
REITが最も優れているのは、個別の物件に投資するときに必要な知識やノウハウが必要ないという点です。もし、個人で不動産を購入するには立地や競合物件の有無を調査しなければならないことに加え、将来の収益性を予想する能力も必要です。そもそも優良物件の情報そのものが簡単には入手できません。こうした面倒をプロが引き受けてくれるという点では初心者でも簡単に始めることができます。
個別物件を購入するのと異なり、REITでは少額からの投資が可能です。個別物件を購入するとなると、数千万円、数億円という資金が必要となります。一方REITであれば数万円からの投資が可能です。逆に個別不動産を購入するに銀行から融資を受けることが可能ですが、REITの購入は基本的には現金が必要です。つまり、個別不動産への投資は融資というレバレッジを利用することができます。
では、実際には両者の間の収益力の差はどうでしょうか。現在、国内REITの平均的な利回りは3%から4%といったところです。一方の不動産投資では、個別案件による差が大きいものの、リスクが大きい分、より高い利回りを得ることが可能です。
さらに、両者の間で決定的に異なるのは、不動産投資には節税効果がある点です。不動産所得は給与所得と損益通算が可能であり、サラリーマンの節税としても利用されています。減価償却費を計上できるため、上手に利用すれば、キャッシュフローはプラスなのに帳簿上は赤字という状況もあり得ます。
知識と経験があれば、不動産投資は節税により、実際の物件からの利回り以上に大きな利益を生むことが可能となります。ただし、誰もが節税の恩恵を受けることができるわけではありませんし、物件によっては損をする可能性だって当然あります。不動産投資で成功するには、やはり知識と経験が必要となります。