(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
8月25日は「御成敗式目が制定された日」だ。
御成敗式目(ごせいばいしきもく)は、鎌倉時代の1232年8月27日、源頼朝以来の先例や、道理と呼ばれた武家社会での慣習や道徳をもとに制定された、武士政権のための法令である。
1185年に鎌倉幕府が成立以降、東日本を勢力下におく鎌倉幕府と、西日本を勢力下におく朝廷による2頭政治が続いていたが、1221年(承久3年)の承久の乱で、鎌倉幕府執権の北条義時が朝廷を武力で倒し、朝廷の権力は制限され、幕府の権力が全国に及んでいった。しかし、日本を統治する上で指標となる道徳や倫理観そして慣習が各地で異なるため、武家社会、武家政権の裁判規範として御成敗式目が制定されたのである。
鎌倉幕府成立時には成文法が存在しておらず、律令法・公家法には拠らず、武士の成立以来の武士の実践道徳を「道理」として道理・先例に基づく裁判をしてきたとされる。しかし、幕府成立から半世紀近くたったことで、膨大な先例・法慣習が形成され、煩雑化してきたという背景もあった。
御成敗式目は、鎌倉幕府の基本法で、日本最初の武家法である。武家社会の道理を基準とし、御家人の権利義務や所領相続の規定が多い。例えば第三条は「諸国守護人奉行事」、第九条は「謀反人事」について定めている。
不動産取引における「御成敗式目」は?
不動産取引に関わる法律には、不動産登記法や借地借家法、宅地建物取引業法(宅建業法)、建築基準法、土地区画整理法など、数多くの法律のもとで不動産取引が行われている。
その一方で不動産業界には、成文化されていない慣習も多い。その一つが「両手仲介」である。
仲介業者が不動産の売主と売却物件の買主の両方を自分で見つけた場合、客付仲介手数料も得る事が可能となる。売主から買主までの仲介を一手に行い、元付、客付両方の仲介手数料を得る事を「両手仲介」と呼ぶ。
「両手仲介」自体は違法ではないが、この「両手仲介」を実現させる為に、不動産業界には「囲い込み」という商習慣が存在している。「囲い込み」とは元付仲介業者が買主を自社で見つけるため、他の不動産業者からの購入希望をブロックする事を指し、不動産の健全な取引を阻害する要因となっている。
これまで幾度となく、問題視されてきたが、不動産取引は高度な専門性を必要とするため、取引はどうしても仲介業者に任せきりとなってしまうケースも多く、解消にはいたっていない。
中には国民が広く、不動産に対する知識を身に付けることで「囲い込み」のような、不健全な取引を防ぐことができると指摘する声もある。
専門家を目指すとまではいかなくとも、日頃から不動産取引に関する知識はどんよくに吸収していくべきだろう。