(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
8月4日は「ビヤホールの日」だ。1899年のこの日、東京・銀座に国内初のビアホールである「恵比寿ビヤホール」が開店したことを記念して、制定された。
通年で飲めるビールだが、特においしく飲める季節が夏だ。暑い日にキンキンに冷やしたグラスに冷たいビールを注ぎ、ゴクゴク飲む。そんなビール好きの日本人は多いが、一体いつから日本人はビール好きになったのだろうか。
日本人が初めてビールを飲んだのは、江戸時代のことだ。持ち込んだのは、長崎で貿易をしていたオランダ東インド会社の人間だった。献上したビールを飲んだ幕府の役人によると「ことのほかマズい」という評価だったという。
明治時代に入ると、外国人が多く住む横浜でビールが醸造されるようになる。その後も全国各地で100以上の小規模の醸造所が作られたという。現在のサッポロビール、キリンビール、アサヒビールなど大手のビール会社が設立されたのも明治20年代のことだった。
当時、ビールはフルコースと一緒に飲まれるようなお酒であったが、大衆の間で飲まれるようになったきっかけが「恵比寿ビヤホール」の誕生だと言われている。ビアホールは、食事は最低限のおつまみが食べられる程度におさえた、ビールを飲むことに特化した飲食店と定義される。このビアホールの誕生で、それまで敷居が高かったビールが手軽に飲めるようになり、一気に大衆に広がった。
現在日本におけるビール消費量は、2016年の1年間で約525万klとなっている。とりあえずの1杯でビールを頼むことが多い日本人だが、世界全体をみても7位の消費量と、ビールをよく飲んでいることがうかがえる。
恵比寿駅はビールのために作られた
ビアホールでも提供されていた恵比寿ビールは、東京の「恵比寿」という土地と深い関係がある。
1890年にドイツ人技師によってドイツ製の醸造用機械を使って完成したのが恵比寿ビールだった。発売後すぐに人気を博して東京を代表するビールとなってからは、1901年に貨物専用駅として恵比寿停車場を作り、各地へと出荷するようになった。その後、1906年からは一般の旅客も利用できるようになり、現在の「恵比寿駅」となったのだ。
JR山手線の恵比寿駅のホームに流れる音楽も、ヱビスビールがテレビCMに使っていた「第三の男」というイギリス映画のテーマ曲が使われている。この曲を聴くとビールが飲みたくなるものだ。
リクルート住まいカンパニーが発表している「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関東版」では、恵比寿駅は上位常連だ。2018年のランキングでも堂々の2位にランクインしている。
この人気には、JR、地下鉄ともに使える交通利便性もあるが、なにより魅力的な飲食店の多い地域のイメージが大きく貢献している。
もとを正せば、恵比寿ビールが作った街かもしれない。