(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)

昭和40年代になって、通勤電車に冷房を導入しようという動きが出始めた。

当時の通勤時間帯の混雑状況は、現在のそれとは比べものにならないほど過酷だった。現在の混雑率はピーク時でも200%前後といわれているが、最も混雑する路線だという総武線各駅停車では1963年の混雑率は315%だったというから、そのすさまじさがわかる。横須賀線でも1968年の混雑率は327%を記録している。

そして、真夏ともなれば混雑した車内の気温は35度にも達することが当たり前だったという。汗だくになりながらぎゅうぎゅう詰めの電車で通勤をしていたのかと思うと…想像したくない。

当時、電車で通勤をしていたという人たちは皆、「夏の電車は耐え難い蒸し暑さだった」「具合が悪くなりながら通勤した」などと口を揃える。

そんな中、首都圏では京王電鉄が通勤電車に冷房を導入して話題になった。当時「大衆冷房車」と賞賛された冷房車は、他社の電車にも続々と導入されていった。

そして昭和45年の7月31日、当時の国鉄でも通勤電車初の冷房車を山手線に1編成(10両)のみではあったが、導入したのだ。試験的に導入し、乗客の反応を見て好評であれば冷房車を増車していき、10年後には全ての車両に冷房車を導入するということだった。

この日、国鉄の広報担当者が電車内の気温を計測したところ、平均26度。乗客らは今までの電車内と比較にならない快適さに喜んだという。

冷房車導入当時は極端に冷えたり、ジメッとしていたり、涼しくはなったものの、現在と比べれば、まだまだ快適ではなかったようだ。今では涼しくて快適な車内が当たり前だが、少しずつ改良し、試行錯誤を重ねてきたのだ。

東京都駅周辺地価ランキング

通勤と不動産ビジネスは密接な関係がある。

住宅価格は交通の利便性と比例して高くなるからだ。東京都内で、駅周辺の地価平均が高い順にランキングしてみた。1坪あたりの地価を見てみよう。通勤電車初の冷房車が導入された山手線の駅はどれくらいランクインしているだろうか。

1位銀座 11878.8万円 /坪

2位東京 8409.9万円 /坪

3位銀座一丁目 7578.5万円 /坪

4位大手町 6303.0万円 /坪

5位京橋 5454.5万円 /坪

6位有楽町 4958.7万円 /坪

7位明治神宮前 4588.4万円 /坪

8位霞ヶ関 4066.1万円 /坪

9位原宿 4049.6万円 /坪

10位日比谷 3851.2万円 /坪

10位の中に山手線の駅が3つもランクインしている。さすが東京の都心部を走る山手線だ。かつてほどではないにしろ、今も東京の通勤地獄はとみに有名だ。

気持ちだけでもなごんでほしいということだろうか、最近では山手線を丸ごと利用した広告なども盛んで、時々面白い車両が走行し、楽しませてくれている。

(ちなみに、写真は2017年の7月17日から8月1日限定で走行していた、人気キャラクターのラッピング電車の車内)。

涼しくて快適な山手線でぐるりと1周巡ってみるのも楽しそうだ。

 
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