(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)

「新聞配達の日」は日本新聞販売協会が制定した記念日だ。

雨の日も、雪の日も毎朝・夕と新聞を届けるために尽力する新聞販売店の所長と従業員にスポットライトをあてるための記念日だ。新聞を購読する各家庭へ戸別配達の理解と支援を得るための取り組みの一つだ。

日本では当たり前の新聞配達だが、実は戸別に配達する仕組みは世界的にもまれなものである。

その歴史は古く、戸別配達がはじめて実施されたのは1875年(明治8年)のことだった。日刊紙として日本で最も古い歴史を誇る東京日日新聞(現・毎日新聞)が始めた。そこから、現在の戸別配達制度の基礎ができあがったのは第二次世界大戦後で、経済が急速に成長を遂げるなか、輸送手段が確立されていくなかで、新聞の配達システムも発展していった。これにより、日本における新聞発行部数、購読率ともに極めて高くなったと言われている。

現在のように、毎日決められた時間に新聞を配達できる理由として、全国に約16,000ヶ所ある「新聞販売所」の存在がある。新聞販売所には、大きく分けて3種類あり、特定の新聞社の新聞だけを扱う専売店、特定の新聞社をメインに扱いつつも他紙も扱う複合店、地域すべての新聞を扱う合売店がある。専売店は都市部に多く、複合店は新興住宅地や地方、そして合売店は過疎地に多く、地域の特性にあった販売所の形態をとっているのだ。

新聞が印刷されると、各地域の販売所に送られ、そこから販売所の従業員が戸別に配達していく。従業員にはアルバイトも多く、労働を原則禁止されている中学生も例外的に働くことができる。

過疎地域で行われている配達の工夫

このように、新聞販売所が全国にまんべんなくあり、販売所に所属する従業員が日々早朝や夕方に各家庭に届けていることで、我々は毎日新聞を読むことができる。一方で、現在問題視されているのが過疎地域への新聞配達だ。地域の購読者が減ると、販売所や従業員も減り、人手不足になることで戸別配達も難しくなる。

その問題を受けて、昨年には小型無人機ドローンを使った過疎地域への新聞配達実験も行われた。新聞の需要が多い高齢者が住む過疎地域こそ、戸別配達の継続のために工夫をしていかなければならない状況なのだ。

朝日新聞ではベンチャー企業アクシスモーション(東京)と提携し、新聞配達のない時間を有効活用することを模索している。不動産管理会社から依頼される、ゴミの散乱や電球の取り替えなどの簡単な作業を配達員が請け負う仕組みだ。全国津々浦々までカバーされた新聞配達網と、朝・夕以外は比較的に時間に余裕がある事情を考慮した取り組みだという。また一部の飲食店とは出前を請け負う取り組みも行われている。

世界にもまれな、新聞配達システムの可能性は計り知れない。

 
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