国立国際医療研究センター(前 国立東京第一病院) (画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)

7月12日は「人間ドックの日」だ。

「人間ドックの日」は、1954年のこの日に国立東京第一病院(現・国立国際医療研究センター病院)で日本初の人間ドックが行われたことを記念して制定された。

そもそも人間ドックとはどのようなもので、健康診断とどう違うかご存知だろうか。

まず、どちらも健康かどうか、病気による異変があるかないかを調べるという目的は同じだが、根本的な違いとして「定義の有無」といった違いがある。健康診断は、自治体や会社が行うもので、年1回の受診を義務付けたものだ。必要な検査項目も定められている。一方で、人間ドックは対象となる検査項目に定義がないのが特徴だ。

項目数の多さにも違いがあり、健康診断が10~15項目なのに対し、人間ドックでは50~100項目以上を検査することができる。人間ドックは検査項目の多さから、費用も多くかかるが、詳細な検査によって、通常の健康診断では見つからなかった異変や疾患を見つけることができるのだ。

そもそも、人間ドックは病気の予防や早期発見を目的とした「予防医学」としてはじまった。当初は人間ドックという言葉はなく「短期入院精密身体検査」という名称だった。現在は、半日や1日コースなど様々なコースがあるが、日本初の人間ドックは全診療科目を網羅するような内容で、6日間の入院が必要だったそうだ。

健康なうちはなかなか病院に行こうとは思えないものだが、病気が進行してからの発見は、すでに手遅れになっているケースも少なくない。病気を未然に防ぐためにも、毎年の健康診断とあわせて、数年に1度人間ドッグを受けて健康状態を徹底的に調べたいところだ。

国立東京第一病院があった東京都新宿区戸山

日本初の人間ドックが行われた国立東京第一病院は、現在は独立行政法人となり、国立国際医療研究センター病院に改称されている。病院のある新宿区戸山には、昭和の風情を色濃く残す「戸山ハイツ」があるのをご存知だろうか。

戦後の高度経済成長による東京への人工集中による住宅難を解消するため、旧陸軍跡地に建設された巨大公営団地だ。新宿という東京の中心地でありながら、今では建物の老朽化や空き部屋問題、高齢者の孤独死などさまざまな問題を抱えているエリアでもある。一度、訪ねればわかるが、広大な団地内で、見かけるのは老人ばかりだ。

また近接する国立感染症研究所の建築中には地中から多数の人骨が発見され、旧陸軍731部隊における人体実験が噂された。今も論争は続いており、ミステリー好きを楽しませているらしい。日本の近現代における歴史を感じさせるエリアである。

(敬称略)

 
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