(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
「農林水産省発足記念日」とは1978年7月5日に「農林省」が「農林水産省」に改称された日を記念した日だ。
日本の行政機関のひとつである農林水産省は、農業や畜産業、林業、水産業の発展や、食料の安定供給、農村や漁村などの地域の振興など、農林水産業にまつわる管理を幅広く執り行う行政機関である。
その政策のひとつには、我々の口に入る食料の安全の確保も含まれている。その取り組みのひとつに、「食育」の推進があるのをご存知だろうか。多様化するライフスタイルによって食生活が大きく変化した昨今、「生活習慣病」の増加や食料資源の浪費など健全な食生活でないことが問題視され、後世に残したい日本の食文化の伝承も危ぶまれていた。こうした背景を元に、2000年に望ましい食生活のあり方と、その取り組み内容を示した「食生活指針」が策定、2005年には「食育基本法」が制定されたのだ。
農林水産省が行なった食育の推進は、さまざまな体験をもとに国民が「食」に関する知識と「食」を選択する力を身につけることを目的とし、国民に啓発するだけではなく事業者にも働きかけられている。また、地域特有の郷土料理や地域の特産物を使った「地域版食事バランスガイド」を発行するなど、さまざまな角度から食育への取り組みに働きかけている。
そして、現在新しい取り組みとして注目されているのが、農山漁村に住む人々と都市部に住む人々がそれぞれの地域の魅力を分かち合い、「人」「もの」「情報」の行き来を活発にし、新しいライフスタイルを広めていく「都市と農山漁村の共生・対流」という取り組みだ。
「体験」が地域を活性化させる
「都市と農山漁村の共生・対流」の取り組みのひとつに「農泊体験」がある。農泊とは農山漁村滞在型旅行のことだ。これにより、日本人のみならず海外の人々を呼び込むことで、農家や地域の所得の増加が見込める。さらに、過疎が進む農村へ観光客が増えることにより、働き手が必要になり、若い世代が移住を検討するといった展望のある取り組みだ。
農業体験による耕作放棄地の解消や、空き家となってしまった古民家の再生などを通して、地域の活性化が図られ、成功例も出ている。地方の古い家屋も、このような農泊や民泊などによって、価値のあるものになりつつあるのだ。
こうした農村への旅行は、アグリツーリズムと呼ばれており主に欧州を中心に発展している。なかでも最も早くから取り組んだイタリアでは様々な試みがされており、トスカーナ州では農家の5%前後がレストランや宿泊施設経営を兼業しており、高齢化がすすむ地域に新たな経済活動を呼び込んだモデルケースとしてしられることになった。
農村が疲弊し、空き家の増加が問題視される日本でも新たな経済モデルとして、取り入れてみる価値はありそうだ。