(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
7月2日の「うどんの日」は、香川県生麺事業組合が制定した記念日だ。これは「半夏生(はんげしょう)」という雑節が関係している。
半夏生は夏至の日の11日後にあたる日とその後の5日間のことを指す。かつて農業が中心だった日本において、半夏生は重要な節目のひとつで「チュウ(夏至)ははずせ、ハンゲは待つな」ということわざがあるほどに、生活になじんだ節目の日だった。
つまり、夏至が過ぎてからと半夏生に入るまでのあいだに田植えを済ませることが望ましいというもので、田植えを終える目安の日だったのだ。一方で半夏生は物忌の日でもあり、全国各地で井戸に蓋をしたり、酒や肉、野菜などを食べることを禁じたりする風習があった。
一方で、半夏生の日に食べるといいとされる食べ物もいくつかあった。それが「タコ」「鯖」「うどん」だ。タコを食べる風習は主に関西地方に根付いており、「田んぼに植えた稲の苗が、蛸の足のように地にしっかりと根付いて豊作になるように」との願いが込められていたそうだ。また、福井県の一部の地域では栄養補給を目的に鯖を食べる習慣もあった。
そして、うどんを食べる風習がある地域が讃岐地方だ。讃岐地方の農家では、半夏生のころに田植えを終え、さらに小麦の麦刈りもこの時期に行われていた。物忌の日と労をねぎらう意味をかねて、半夏生のころにうどんを打って食べる風習があったそうだ。この風習にちなんで「うどんの日」が誕生した。
うどん好きにはたまらない香川県
コシのある麺と上品ないりこだしが効いた汁がおいしい「さぬきうどん」は、全国にあるうどんの中でも一線を画すものだ。今では「うどん県」とも言われるほど、うどん文化が発達した理由として、上質な小麦はもちろん、高品質のいりこがとれ、製塩や醤油の生産も盛んであったことがあげられる。さらに、降水量が少なく米の生産は安定していなかったため、米に代わる主食として「さぬきうどん」が発達していったのだ。
香川県には、おいしいうどんを求めて地元の人々はもちろん、全国各地から観光客が訪れる。瀬戸内の温暖な気候や、災害の少なさ、そして不動産の安さも魅力のひとつで、移住先として香川県を選ぶ人々も多い。
香川県に拠点をおく不動産会社・グローバルセンターでは、お気に入りのうどん店から近隣の賃貸住宅を探す「うどん県索」というサイトを開設している。香川では、食生活だけでなく暮らしの中心にうどんがあるのだろうか。さすが、うどん県を自称するだけはあると、妙な感慨を抱かされるサービスだ。