(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
超高層ビルが建ち並ぶ現在の西新宿。その先駆けとも言えるのが、京王プラザホテルだ。
京王プラザホテルは、1971年6月5日に開業した日本初の超高層ホテルである。70年代はじめに、新宿駅周辺の都電が完全に撤去され、新宿高速バスターミナルが開設した。新宿の西側はまだ再開発が始まったばかりの頃だった。地上179mの高さの47階建てのビルは、開業当初国内で最も高い建物であり、周りには高層ビルがなかったため、上階からは富士山が望めるほどだったという。
3年後の1974年、200mを越える高さの新宿住友ビルが建てられたことで、ビルとしては日本一の高さの座を明け渡したものの、1993年に幕張プリンスホテルに抜かれるまでは、日本で最も高いホテルであった。また、1980年11月には南館もオープンし、2棟建ての超大型ホテルとなった。
(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
こうして、先駆者的な立ち位置で創業した京王プラザホテルは、高さだけでなくサービスの面でも日本のホテル業界をリードしていた。例えば、ホテル内に備えられたウエディング・チャペルも、最初に手がけたのが京王プラザホテルだったそうだ。
ほかにも託児ルームの設置や、バリアフリーへの取り組み、ホテル初の日本酒バー、レディースプラン、カラオケルーム、ホテル初の超高速インターネットの無料提供、イベントの開催など、時代に合わせながら、あらゆる角度から利用者のニーズに応えている。2014年から開始した「ハローキティールーム」も、ハローキティーファンが楽しめるよう徹底して世界観が作り込まれ、人気のサービスとなった。ホテル業界の先駆者たる気概は、今なお衰えることがない。
1日平均して350万人以上の人々が乗り降りする新宿駅は、全国各地の人々や海外の人々など、多様な人々が集まる。京王プラザホテルは、都市の広場として、新宿に集まる人々のふれあいや、文化の発展、思い出づくりなど、都市の大型ホテルとしての役割を果たし続けているのだ。
そんな京王プラザホテルがある西新宿は、丹下健三の代表作のひとつである東京都庁舎や、丹下都市建築設計による東京モード学園のコクーンタワーなど、個性的な高層ビルと整備された美しい道路などが魅力のスポットでもある。ホテルの窓から眺める西新宿の景色は、また違った趣があるのかもしれない。
ホテルと不動産ビジネス
日本初の超高層ホテル・京王プラザホテルの開業で新興高級ホテルの時代が始まった。80年代以降は外資系ホテルが日本市場に参入し、群雄割拠の世が続いている。
2000年代に入ってからは不動産リートなどの登場で、建物・土地の不動産としてのホテルが投資商品として取引されるようになっている。経営と所有の分散がなされているのだ。
一般にホテルの運営形態は2つに大別できる。まず所有直営方式だ、ホテル事業者やその関連会社が土地・建物を所有し、開発から運営までを一体で行う方式だ。京王プラザホテルはこの方式だ。
もう一つがリース方式だ。土地・建物はリートや大規模な不動産会社が所有し、ホテル運営会社へ賃貸する方式だ。日本で運営している外資系ホテルのほとんどはこの形態だ。
リース方式が増えたことで、都心の再開発ビルの一部のフロアにだけホテルが入居するなど、より柔軟な開業が可能になっている。