(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
短編映画にフォーカスをあてた映画祭が、毎年6月に東京・表参道や原宿で開催されているのをご存知だろうか。その名を「ショートショート フィルムフェスティバル」という。
映画祭の始まりは1999年のことだ。米国俳優協会の会員でもある俳優の別所哲也を中心に、「ショートフィルム」という新しい映像ジャンルを日本に紹介することを目的に構想がもち上がった。フェスティバルの誕生当初は、別所の米国人脈が中心だったのか「アメリカン・ショートショートフィルムフェスティバル」という名称であった。また、初年度には、ジョージ・ルーカス監督が学生時代に製作したショートフィルムも上映され、注目を集めた。
この初年度のフェスティバルの開催日にちなみ、6月4日が「ショートフィルムの日」に制定されたのだ。
2001年からはフェスティバルの名称を改め「ショートショート フィルムフェスティバル」となった。さらに、2004年には米国アカデミー賞の公認映画祭として認定され、同じ年に東京都と共催の「ショートショート フィルムフェスティバル アジア」が誕生した。これにより、日本のみならず、アジアから新しい映像文化を発信し、若手映像作家の育成にも力を入れるようになった。
現在では、この2つの映画祭が同時開催されており「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」として規模を拡大し、表参道ヒルズ内のスペース オーと、ラフォーレミュージアム原宿をメイン会場に、東京都内の複数の会場で開催されている。
映画祭開催20周年を迎える2018年は、10,000本を超えるショートフィルムが、130以上の国と地域から応募されVR部門も新設されるなど、ますます盛り上がりを見せている。特にインターナショナル部門、アジアインターナショナル部門、ジャパン部門の3つの部門の優秀賞のなかからグランプリに選ばれた作品は、翌年度の米国アカデミー賞の短編部門ノミネート候補となる。世界で活躍する若手クリエイターたちの作品をいち早く目撃することができるだろう。
映画祭の期間は約10日間あり、その間は都内の各会場でショートフィルムの上映やイベントが開催される。映画文化に触れながら、表参道ヒルズ、六本木ヒルズ、新しくできたミッドタウン日比谷など、東京を代表する複合施設をめぐってみるのもいいだろう。
不動産ビジネスと映画
ショートフィルムに限らず、不動産を巡る悲喜こもごもやビジネスを取り扱った映画も数少ない。いくつか紹介しておこう。
最近、何かと注目されるシェアハウスを舞台にしたコメディ映画は『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(2014・ニュージーランド)だ。その名の通り、シェアハウスで共同生活を送る吸血鬼が主人公だ。何百年も生き続ける吸血鬼たちが、シェアハウス内では小さな性格の不一致や生活習慣の違いからいざこざを繰り返す。そのあまりにも人間らしい(?)様子が滑稽で、何度も笑ってしまうだろう。
家と人生のつながりを考えさせられるのは、『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009・アメリカ)は、妻に先立たれた老人が主人公という異色のCGアニメ作品だ。最愛の人を失ったカールじいさんは、生前の妻との約束を守るため、自宅に風船を付け冒険の旅にでる。劇中のカールじいさんは、旅の途中で思い出の詰まった家財道具を次々と捨てていく。人は何かを捨てなければ、新しい一歩を踏み出すことはできない。時には住み慣れた家をも離れねばならないのかもしれない。希望に溢れたラストは、観るものの心を打つ。
『摩天楼を夢みて』(1992年・米国)は、苛烈なノルマ主義でしられる不動産会社ミッチ&マレー社が舞台だ。ある日、本社の意向で成績低迷者は解雇と決まった支店でまきおこる人間模様を描く。若き日のアル・パチーノやアレック・ボールドウィン、ケヴィン・スペーシーが出演している他、名優ジャック・レモンが全盛期を過ぎた老セールス・マンを哀愁たっぷりに演じている。
(敬称略)