(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
「極上な風呂」5(ご)くじょうな2(ふ)6(ろ)という語呂合せということのほかにも由来がある。
鎌倉時代の第84代順徳天皇(1197~1242年)が編纂した歌論書「八雲御抄」には日本各地の名湯9箇所が取り上げられている。その中で「名取湯」(現在の秋保温泉)「信濃湯」(現在の別所温泉)「犬養湯」(現在の野沢温泉)の3箇所だけが「御湯」と書き表されており、「日本三御湯」として、当時から特別な扱いであったことをうかがい知ることができる。
「源泉掛け流し温泉の日」は、その日本三御湯にも名を連ねている歴史ある名湯、野沢温泉にある、源泉掛け流しの温泉を提供している旅館などで結成されている「野沢温泉源泉掛け流しの会」が制定した日なのだ。
これは、2018年で14回目を迎える「源泉掛け流し全国温泉サミット」の、第4回目の開催地であった野沢温泉の同会が、その年の開催日であった5月26日にちなんで制定したものなのだ。
(画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
野沢温泉村には源泉が30余りもあり、特に大きな石造りの釜から、もくもくと湯煙が立ち上がる「麻釜」(おがま)は温泉としてだけではなく、「野沢温泉の台所」ともいわれている。地元の人々が山菜や卵などを茹でるなど、観光客のみならず地元の人々の暮らしに欠かせないものだ。
また、野沢温泉には13もの外湯があり、浴衣を着て温泉街をのんびり歩きながら湯めぐりを楽しむことができる。もちろん、外湯は全て源泉掛け流しだ。多くの源泉を有する野沢温泉の外湯だけに、泉質や効能が異なる上質な温泉を贅沢に楽しむことができるというわけだ。
ところで、「源泉掛け流し」とはどのような定義があるかご存知だろうか?
まず、温泉法で定められている温泉であることと、自家源泉または共同源泉から温泉を引き込んでいることが前提となっている。そのうえで、
・浴槽に新しい温泉が常に引き込まれるようになっていること
・浴槽に引き込まれた温泉の分だけ、浴槽の温泉が外に溢れ出ていること
・溢れた温泉は浴槽に戻さないこと
・湯量不足を補うために循環したり、加水しないこと
「源泉掛け流し」とは、このような厳しい条件をクリアした温泉のみに与えられる、「極上な風呂」であるという「称号」ともいえるのだ。
源泉掛け流し温泉の楽しみ方
日本源泉掛け流し協会も勧める、源泉掛け流し温泉の楽しみ方を紹介したい。
・頭から掛け湯をなどをして、汚れをしっかりと流してから温泉に入る
・額に汗が滲んできたら、半身浴や足湯に切り替えるなど、数回に分けて
無理せずに湯浴みを楽しむ
・ゆったりと目を閉じて、湯の音や香りを楽しむ
・景色や湯の色、他の人との会話も楽しむ
・温泉から出るときにシャワーなどを浴びない
・温泉から出てすぐに冷たいものを飲食することは控える
(同会HPより)
極上な風呂をもっと楽しむためのひと工夫。ぜひ試していただきたい。
バブル経済華やかかりし80年代には温泉付きリゾートマンションなる代物が全国各地につくられた。大きな大浴場を備えたリゾートマンションは絢爛豪華なつくりで、バブルの権勢を象徴するものの一つかもしれない。もともと都会で生活する富裕層向けに企画されたものだが、バブル経済の常で購入者は投資目的も多かった。
こうしたリゾートマンションはあちこちで疎ましい存在になっている。使わずとも維持費だけで年間で数十万円かかるものもあり、なかには10万円など冗談のような価格で売り出されているものも多い。相続したくない不動産として「負動産」との言葉も生まれた。
何にせよ、右肩下がりの世相だ。極楽とはつかの間、湯船の中にしかないのだろうか。