メジャーと定規 (画像=リビンマガジン Biz編集部撮影)
5月20日は、「世界計量記念日」である。
1875年のこの日、フランス・パリでメートル法を基準とする「メートル条約」が締結したことを記念して実施されている。メートル法とは、長さをメートルとし、質量をグラムとした、十進法による距離・重さ・体積などの単位系のことだ。
メートル法の始まりは、フランスの革命が進む中で制定された。それまでフランスでは、計量の基準が地域ごとに違っており、取引の際にもたいへんな混乱をもたらした。そのため、国際的な計量の基準を設け、統一する必要性からメートル法が生まれ、条約が締結されたのだ。現在ではほとんどの国がメートル法を導入しているが、アメリカ合衆国、ミャンマー、リベリアの3カ国はメートル法を採用していない。
日本では1885年にこの条約に加入した。1921年には間接的なメートル法が採用されている度量衡法が定められ、1951年に廃止された。その後、国内の単位の統一をはかり、1959年から完全にメートル法が実施されるようになった。
メートル法制定後も不動産、建築の世界では尺貫法が存在感
メートル法が国内の公式単位になったものの、土地や建物に関する表記は「坪」「間」「尺」などの中国から伝来した尺貫法の単位がいまだに馴染み深い。それぞれをメートル法になおすと、1坪=約3.305785124㎡、1間=約1.81818m、1尺=約30.303cmとなる。
建材はもちろん、日本家屋になくてはならない畳も、尺貫法が基準でつくられている。他にも、お酒(合、升)、花火の玉(寸、尺)、溶剤(斗)の単位など、身の回りにあるものをよく見てみると、尺貫法が日本人にとって直感的に理解できるものであり、今も生活に根ざした単位であることがわかる。
尺貫法は、現在は公式の単位として取引や証明に使うことはできないが、日本家屋の設計や、土地の面積などを考える際に度々使われる。土地の広さも、平米数よりも坪で言った方が感覚的にわかる人は多い。設計者や不動産業者、建築関係に携わる人々にとっとは、感覚的に切っても切れない単位なのだ。