10月7日はニュース番組「ニュースステーションが放送開始した日」だ。
ニュース番組のフォーマットを変えたニュースステーションは1985年の本日、放送開始した。
ニュースステーションは、平日22時台に新設したニュース番組である。
当時、ドラマやバラエティを放送していた時間帯に報道番組を放送することは異例のことだった。また、それまでバラエティ番組のイメージが強かった久米宏をキャスターに起用したことでも、話題を呼んだ。
番組内容も「中学生でも分かるニュース番組」をコンセプトに、手作りのフリップや模型を用いて、分かりやすく伝えるよう工夫を凝らした。しかし、番組開始当初は、他局のドラマやバラエティに押され苦戦を強いられたという。
放送開始から半年が経った1986年2月を契機にして、高い視聴率を記録するようになる。
フィリピンのマニラで軍事政権に抗議する大規模なデモが起こった。ニュースステーションは、アメリカのケーブルテレビのCNNが中継していた国務長官の記者会見を生放送の中で流した。マニラから当時、同番組のリポーターをしていた安藤優子が、国際電話で現地の様子を伝えた。世界で起こった重大なニュースをリアルタイムで伝える様子は臨場感にあふれ、多くの視聴者に番組の存在を印象づけた。
ニュースステーションは、放送内容以外でも大きな変革を行っている。
それまでの報道番組といえば、背後に人がごった返した報道デスクからの放送が一般的であった。この放送形態は視聴者にも抵抗があり、「落ち着かない」「人が目障りだ」という声も多かったという。ニュースステーションは、落ち着いた美術セットの中でニュースを読んだ。セットはリビングをイメージして作り、一角には応接室も取り付けた。
より、視聴者の目線で見られる演出を目指したという。これ以降は、ニュースステーション同様のスタイルで番組が作られていくことになる。
報道番組の常識を変えたニュースステーションは、2004年3月に19年という歴史に幕を閉じた。
敬称略