10月5日はテレビ番組「空飛ぶモンティ・パイソンが放送開始した日」である。
欧米のコメディ文化に多大な影響を与えたモンティ・パイソンは1969年の本日、始まった。
「空飛ぶモンティ・パイソン」は、イギリスのコメディグループであるモンティ・パイソンが制作した番組だ。アナーキーでブラックな笑いが特徴で、その過激な内容は全世界で人気になった。モンティ・パイソンは、有名人や政治家、時事などをネタにし、タブーと言われる性や人種差別についても言及していた。
イギリスの公共放送BBCで放送していたにも関わらずイギリス王室もネタにした。
モンティ・パイソンのコントは「スケッチ」と呼ばれ、短いコントをつなぎ合わせていくのが特徴だ。数多くあるスケッチの中から「建築スケッチ」を紹介する。
建築家が自ら設計した建物をオーナーにプレゼンしていくコントだ。一人はオーナーの意図を誤解し、食肉処理場を設計してしまう。もう一人は、耐火性に優れたマンションと言いながら、プレゼン中に模型が燃えだし、爆発してしまう。
食肉処理場と燃えやすいマンションの二択で、燃えやすいマンションに決定する、という話だ。これだけ聞けば、何のことだか分からないが、放送された1年前に、コントと同じようなマンション爆発事故があった、と聞けばそのブラックユーモアが理解できるだろう。
1968年、ロンドンのローナン・ポイントにあった高層マンションが、竣工から2か月後に、倒壊した事故だ。マッチの火が漏れていたガスに引火し、爆発を起こした。
この爆発によって、上部荷重を支えていた壁が吹き飛び、連鎖的に崩壊していったのだ。マンションは倒壊し、4人が死亡、17人が負傷した。
このマンションは当時、開発されたばかりのプレハブ工法で建設されていた。工場で各部を生産し、現場で組み立てていくプレハブ工法は、お金をかけることなく、大量生産できるため、多くの建物で利用されていた。
しかし、この工法だと、現場で臨機応変に対応することができない。本来であれば、壁以外でも建物の荷重を支えないといけないが、手抜き工事により、壁しか支えるものがなかったのだ。この事故により、高層マンションの信頼が失われ、建築基準法の改定にもつながった。
モンティ・パイソンはただのギャグ芸人の集まりではなく、喜劇人として世の中に問題を訴える力を持ったコメディアン集団であった。
敬称略